ロゴ

TOP > スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのあらすじと感想!ネタバレ結末まで徹底解説

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのあらすじと感想!ネタバレ結末まで徹底解説

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』はマルチバース最大の冒険!あらすじから感想まで徹底解説

2023年に公開された『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』は、前作『スパイダーマン:スパイダーバース』の続編として、さらにスケールアップした物語を描いています。

革新的な映像表現と奥深いストーリーで世界中を魅了したこの作品について、あらすじから感想、見どころまで詳しく解説していきます。

ネタバレを含む内容になっていますので、まだ映画をご覧になっていない方はご注意ください。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』作品情報

まずは本作の基本情報を押さえておきましょう。

基本データ

公開年は2023年、上映時間は140分とアニメーション映画としては長尺の作品です。

監督はホアキン・ドス・サントス、ケンプ・パワーズ、ジャスティン・K・トンプソンの3名が共同で務めています。

ジャンルはアニメーション、アクション、SF、青春と多様な要素を含んでおり、幅広い層が楽しめる内容になっていますよ。

前作との関係性

本作は2018年に公開された『スパイダーマン:スパイダーバース』の正統続編です。

前作でアカデミー長編アニメーション賞を受賞した革新的な映像表現をさらに進化させ、物語も前作から約1年後の設定となっています。

前作を観ていなくても楽しめますが、マイルスとグウェンの関係性や、マイルスがどのようにスパイダーマンになったのかを知っていると、より深く物語を理解できるでしょう。

続編について

本作は実は前編という位置づけで、続編『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース』の公開が予定されています。

当初は2024年公開予定でしたが、現在は2027年6月に延期されています。

本作のラストが「To be continued」で終わるため、続編を待ち望むファンは世界中に数多く存在していますよ。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』登場人物・キャラクター紹介

本作には多数のスパイダーマンが登場しますが、ここでは主要キャラクターを紹介します。

マイルス・モラレス / スパイダーマン(声:小野賢章)

本作の主人公で、ブルックリンで暮らす高校生のスパイダーマンです。

前作で別次元から来た放射性のクモに噛まれてスパイダーマンとなり、透明化という特別な能力を持っています。

警察官の父ジェファーソンと母リオに正体を隠してヒーロー活動を続けており、家族との関係に悩んでいます。

グウェンへの想いを抱き続けており、彼女との再会を心待ちにしていました。

グウェン・ステイシー / スパイダー・グウェン(声:悠木碧)

別次元のスパイダーウーマンで、音楽を愛するドラマーでもあります。

親友だったピーター・パーカーを事故で失ってしまい、その罪をスパイダーウーマンに着せた警察官の父との関係に苦しんでいます。

スパイダー・ソサエティに所属し、任務とマイルスへの友情の間で揺れ動く複雑な立場にいるキャラクターです。

ミゲル・オハラ / スパイダーマン2099(声:関智一)

2099年の未来から来たスパイダーマンで、スパイダー・ソサエティのリーダーです。

マルチバースの秩序を守るため、様々な次元のスパイダーマンを集めて組織を作りました。

過去に別次元で幸せな生活を送ろうとした結果、その世界を崩壊させてしまった経験から、カノンイベント(運命の出来事)を変えてはならないという強い信念を持っています。

冷徹で厳格な性格ですが、マルチバース全体を守るために行動している正義感の強いキャラクターでもあります。

ピーター・B・パーカー / スパイダーマン(声:宮野真守)

前作でマイルスの師匠的存在だった、別次元の中年スパイダーマンです。

本作では娘のメイデイを連れて登場し、父親としての姿を見せています。

マイルスとミゲルの間で板挟みになりながらも、マイルスを案じる温かい存在です。

ジェシカ・ドリュー / スパイダーウーマン(声:田村睦心)

バイクを乗りこなすクールなスパイダーウーマンで、グウェンの先輩的存在です。

妊娠中でありながら任務をこなす強靭な精神と身体能力を持っています。

ミゲルの右腕として活動し、グウェンに厳しくも的確な助言を与えています。

ホービー・ブラウン / スパイダーパンク(声:佐藤せつじ)

パンクロックの世界観を持つ異色のスパイダーマンです。

権威に反抗する自由な精神の持ち主で、ミゲルの方針に疑問を持っています。

グウェンにマルチバース移動装置を密かに渡すなど、重要な役割を果たすキャラクターですよ。

パヴィトル・プラバカール / スパイダーマン・インディア(声:木村昴)

インドのムンバッタン次元に住むスパイダーマンです。

明るく陽気な性格で、ガールフレンドのガヤトリを大切にしています。

本作ではカノンイベントの概念を理解する重要な場面で登場します。

ザ・スポット(声:星野充昭)

本作のメインヴィランで、全身に黒いワームホールを持つ白い姿をしています。

元々はキングピンの研究所で働いていた科学者でしたが、前作でマイルスたちが引き起こした加速器の爆発に巻き込まれ、現在の姿になりました。

当初は弱小な悪役でしたが、マルチバースを移動するたびに能力が増強され、最終的にはマルチバース全体を脅かす存在へと成長していきます。

マイルスへの復讐心が彼を突き動かしていますよ。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』あらすじをネタバレ解説

ここからは物語の詳細なあらすじを、起承転結の形式でネタバレありで解説していきます。

【起】グウェンの孤独とマイルスの日常

物語はグウェン・ステイシーの世界から始まります。

スパイダーウーマンとして活動するグウェンですが、親友のピーター・パーカーを事故で失ってしまった過去を抱えています。

警察官である父ジョージは、スパイダーウーマンがピーターを殺したと誤解し、娘とは知らずに追い続けていました。

ある日、別次元からヴァルチャーという悪役が現れ、グウェンは苦戦します。

そこに2099年の未来から来たスパイダーマン、ミゲル・オハラと妊娠中のスパイダーウーマン、ジェシカ・ドリューが登場し、共にヴァルチャーを捕獲しました。

しかし戦いの最中、グウェンは父に追い詰められ、ついに正体を明かすことになります。

実の娘がスパイダーウーマンだと知った父は動揺しますが、警察官としての職務を優先し、グウェンを逮捕しようとしました。

行き場を失ったグウェンは、ミゲルが率いるスパイダー・ソサエティに加入することを決意します。

一方、別の次元アース1610に住むマイルス・モラレスは、スパイダーマンとして街を守りながら高校生活を送っていました。

両親に正体を隠していることで家族との関係がぎくしゃくしており、特に警察官の父との衝突が増えていました。

そんなある日、ザ・スポットという全身が白く黒いワームホールだらけの悪役が現れます。

スポットは前作の事件でこの姿になったのはマイルスのせいだと訴えますが、マイルスは彼を脅威とは感じず、軽く追い払いました。

マイルスは別次元にいるグウェンへの想いを抱き続けており、もう会えないと諦めていましたが、突然グウェンが彼の前に現れます。

再会を喜ぶマイルスでしたが、グウェンは何か秘密を隠している様子でした。

【承】マルチバースへの旅とスパイダー・ソサエティ

グウェンはスポットの追跡という任務のためにマイルスの世界に来ていました。

しかしマイルスとの再会に気を取られている間に、スポットは独自にワームホールの力を研究し、能力を大幅に強化してしまいます。

力を増したスポットは別次元へと移動し、さらなるパワーアップを図ります。

グウェンは任務の失敗を先輩のジェシカに叱責されますが、猶予をもらってスポットを追いかけることに。

マイルスはグウェンを助けるため、透明化の能力を使って密かにグウェンが開いたポータルに飛び込みました。

二人が辿り着いたのはアース50101、スパイダーマン・インディアのパヴィトルが守る世界です。

パヴィトルとガールフレンドのガヤトリの協力を得て、スポットを追い詰めようとしますが、スポットの能力は予想以上に進化していました。

スパイダーパンクのホービーも加勢しますが、スポットはこの次元の加速器から膨大なエネルギーを吸収し、さらに強大な力を手に入れます。

加速器の暴走で次元が崩壊しかける中、スパイダーマンたちは人々の救助に奔走します。

その時、橋の上でガヤトリの父である警察署長が、子供を庇って命を落としそうになります。

グウェンは「運命だから助けてはいけない」とマイルスを制止しますが、マイルスはそれを振り切って署長を救出しました。

しかし街の中心には巨大なワームホールが開き、次元全体が危機に瀕します。

そこにミゲル率いるスパイダー・ソサエティのメンバーが大量に出現し、ワームホールを封じ込めました。

マイルスとグウェンはミゲルから直接呼び出しを受け、スパイダー・ソサエティの本拠地へと向かいます。

そこは様々な次元のスパイダーマンが集結する壮大な空間でした。

マイルスは前作で共に戦ったピーター・B・パーカーと再会し、彼の娘メイデイとも出会います。

しかしミゲルはマイルスに対し、厳しい現実を突きつけました。

【転】カノンイベントと運命への抵抗

ミゲルはマイルスに、彼がマルチバースにおける異端の存在であることを告げます。

マイルスを噛んだクモは、本来アース42という別次元のものであり、マイルスのいるアース1610のクモではありませんでした。

それはザ・スポットが研究者時代に引き起こした事故によるものだったのです。

本来クモに噛まれる運命になかったマイルスがスパイダーマンになったことで、本来のスパイダーマンだったピーター・パーカーは死に、マルチバースの歴史が大きく変わってしまいました。

さらにミゲルは「カノンイベント」という概念を説明します。

これは全てのスパイダーマンが経験する運命の出来事であり、それを変えることは次元の崩壊を招くというのです。

ミゲル自身も過去に別次元で幸せな生活を送ろうとした結果、その世界を消滅させてしまった苦い経験を持っていました。

そしてミゲルは衝撃的な事実を告げます。

マイルスのカノンイベントとして、警察署長である父ジェファーソンが数日後に死ぬ運命にあるというのです。

全てのスパイダーマンは身近な警察署長を失う運命にあり、それがヒーローとしての成長に繋がるとミゲルは言います。

しかしマイルスは父を守ることを決意し、元の世界に戻ろうとします。

ミゲルは全スパイダーマンにマイルスの捕獲を命じ、スパイダー・ソサエティの本拠地で壮絶な追跡劇が展開されます。

数百人ものスパイダーマンに追われるマイルスですが、機転と能力を駆使して逃走を続けます。

グウェンやピーター・B・パーカーは複雑な思いでマイルスを見送りますが、ホービーは「俺は抜ける」と言って姿を消しました。

ミゲルはマイルスに「お前がいなければスポットは生まれなかった。お前がスパイダーマンにならなければ、本来のスパイダーマンは死ななかった」と責め立てます。

それでもマイルスは諦めず、次元移動装置を使って自分の世界へと帰還しました。

【結末】衝撃の真実と新たなる決意

自分の世界に戻ったマイルスは、母リオに自分がスパイダーマンであることを打ち明けます。

しかし母の反応に違和感を覚えたマイルスは、重大なことに気づきました。

ここは自分の世界アース1610ではなく、別の次元アース42だったのです。

次元移動装置は、マイルスを噛んだクモのDNAに反応して座標を設定していたため、クモの故郷であるアース42に転送されてしまったのでした。

アース42はマイルスを噛んだクモがいなくなったため、スパイダーマンが存在しない世界でした。

その結果、犯罪が蔓延し、荒廃した危険な世界になっていました。

マイルスは前作で死んだはずの叔父アーロンと再会しますが、この世界ではアーロンが生きており、代わりにマイルスの父ジェファーソンがすでに亡くなっていました。

突然、プラウラーが現れてマイルスを捕らえます。

マイルスはアーロンにプラウラーをやめるよう説得しますが、アーロンは「俺がプラウラーじゃない」と答えました。

そしてマスクを外した真のプラウラーの正体は、なんとこの世界のマイルス・モラレスだったのです。

父を失い、スパイダーマンもいないこの世界で、マイルスは悪の道を選んでいたのでした。

一方、元の世界に強制的に戻されたグウェンは、父ジョージと向き合います。

グウェンは自分の気持ちと真実を父に伝え、二人は和解しました。

ジョージは警察署長を辞める決断をし、娘と共にいることを選びます。

これによってグウェンは「警察署長の死」というカノンイベントから逃れることができたのです。

グウェンの部屋には、以前ホービーが残していった箱がありました。

その中には海賊版のマルチバース移動装置が入っており、グウェンはこれを使ってマイルスの世界へと向かいます。

しかしマイルスの家にマイルスの姿はなく、そこには両親だけがいました。

グウェンは両親に、マイルスがどれだけ家族を愛しているかを伝えます。

そしてグウェンは決意します。

マイルスを救うため、前作で共に戦ったスパイダーマン・ノワール、スパイダーハム、ペニー・パーカー、そしてパヴィトルやホービーを集め、新たなチームを結成したのです。

これはグウェンが率いるバンドでもあり、マイルス救出チームでもありました。

グウェンたちはマイルスの元へと向かいます。

一方、マイルスの両親のもとには、強大な力を手に入れたザ・スポットが迫っていました。

物語は「To be continued」の文字と共に終わり、続編『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース』へと続いていくのです。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の見どころと魅力

本作には数え切れないほどの魅力が詰まっていますが、特に注目すべき見どころを紹介します。

革新的な映像表現とアニメーション技術

本作最大の魅力は、何と言ってもその圧倒的な映像表現です。

前作でアカデミー賞を受賞した革新的な映像技術をさらに進化させ、まるでコミックがそのまま動いているかのような独特の質感を実現しています。

特にグウェンの世界は水彩画のような柔らかいタッチで描かれており、彼女の感情に応じて背景の色彩が変化する演出は圧巻です。

父との再会シーンでは、グウェンの心情に合わせて背景が青からピンクへと移り変わり、視覚的に感情を表現していますよ。

またスパイダーパンクのホービーは、コラージュのような独特の作画スタイルで描かれており、動くたびにフレームレートが変わる斬新な表現が用いられています。

マイルスを追跡するシーンでは、200人を超えるスパイダーマンがそれぞれ異なる作画スタイルで登場し、画面全体が様々な映像表現で埋め尽くされる圧倒的な迫力があります。

2時間20分という長尺ですが、まるでプロモーションビデオを見ているかのような視覚的快楽が続き、飽きることがありません。

240人以上のスパイダーマンが大集結

本作には実に240人以上ものスパイダーマンが登場します。

スパイダー・ソサエティの本拠地には、コミックや過去の映画、ゲームから様々なスパイダーマンが集結しており、ファンにとってはたまらない光景が広がっています。

トビー・マグワイア版やアンドリュー・ガーフィールド版のスパイダーマンの映像も使用されており、実写版ファンも楽しめる演出になっていますよ。

さらに『ヴェノム』からチェンさんが登場したり、『スパイダーマン:ホームカミング』でドナルド・グローヴァーが演じたアーロンの甥という設定が拾われてプラウラーとして登場したりと、細かなファンサービスも満載です。

PS4のゲーム『Marvel’s Spider-Man』のスパイダーマンや、レゴのスパイダーマンまで登場し、まさにスパイダーマンのお祭り状態になっています。

一度観ただけでは全てのスパイダーマンを把握しきれないので、何度も観返したくなる作品ですよ。

親子の絆と葛藤というテーマ

本作は単なるアクション大作ではなく、親子の関係性を深く描いた作品でもあります。

マイルスは両親に正体を隠すことで生まれる誤解や衝突に悩み、特に警察官の父との価値観の違いに苦しんでいます。

グウェンもまた、警察官の父に正体を明かせず、父が娘と知らずにスパイダーウーマンを追う皮肉な状況に心を痛めています。

マイルスが父を救おうとする姿は、親への深い愛情の表れであり、多くの観客の心を打ちました。

両親との会話シーンでは、言いたいことが言えない歯がゆさや、スパイダーマンとしての責任と息子としての気持ちの間で揺れ動くマイルスの心情が丁寧に描かれています。

警察官の父がスパイダーマンと会話する場面で、マイルスが父の信頼を得ようと必死になる姿は、親子の複雑な関係性を見事に表現していますよ。

運命に抗うという普遍的なテーマ

カノンイベントという概念は、本作の核心的なテーマです。

「運命は変えられない」というミゲルの主張に対し、「運命は自分で決める」と反論するマイルスの対立は、哲学的でありながら誰もが共感できる普遍的なテーマです。

全てのスパイダーマンが「大いなる力には大いなる責任が伴う」という言葉と共に、大切な人を失う運命を背負っています。

しかしマイルスは「運命だから諦める」のではなく、「運命だからこそ抗う」という選択をします。

この若者らしい無鉄砲さではなく、確信に満ちた決断が、観客に勇気を与えてくれるのです。

ミゲルの「秩序を守るためには犠牲が必要」という考え方も決して間違いではなく、彼なりの正義があります。

両者の正義がぶつかり合う構図は、単純な善悪では割り切れない複雑さを作品に与えていますよ。

ザ・スポットの成長と脅威

当初は冴えない小悪党だったザ・スポットが、物語が進むにつれて恐ろしい存在へと成長していく過程も見どころです。

マイルスに軽くあしらわれた彼が、復讐心を原動力にマルチバースを移動し、次第に能力を増強していく様子は、ある意味でヴィランの成長物語とも言えます。

最終的に彼は複数の次元を同時に存在できるほどの力を手に入れ、マルチバース全体を脅かす存在になりました。

スポットもまたマイルスと同じく、元々は別の存在になる運命ではなかった人物であり、二人は表裏一体の関係とも言えるでしょう。

前編としての完成度と続きへの期待

本作は前編という位置づけのため、物語は途中で終わります。

これに賛否両論はありますが、続編への期待を最大限に高める終わり方になっていることは間違いありません。

マイルスが異世界の自分と対峙する衝撃的な展開、グウェンが新チームを結成する希望に満ちた場面、そしてスポットの脅威が迫る緊迫感が同時に描かれ、続編への興味が尽きません。

2027年まで待つのは長いですが、それだけの期待に応えてくれる作品になるでしょう。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』を観た感想

ここからは実際に本作を鑑賞した感想を述べていきます。

映像表現の圧倒的な進化に驚嘆

前作も素晴らしい映像でしたが、本作はさらに次元が違うレベルに達しています。

各キャラクターが異なる作画スタイルを持ち、それぞれの世界観も独自の表現で描かれているため、画面を見ているだけで楽しめますよ。

特にグウェンの世界の水彩画タッチと、感情によって変化する色彩表現は美しく、何度も観たくなる魅力があります。

マイルスがスパイダー・ソサエティから逃走するシーンは、アニメーション映画史に残る名場面と言えるでしょう。

数百人のスパイダーマンに追われながら、建物の間を縦横無尽に駆け抜けるマイルスの姿は、スピード感と臨場感が完璧に表現されていました。

キャラクターの心情描写の深さ

アクション大作でありながら、登場人物の心情が丁寧に描かれている点が本作の大きな魅力です。

マイルスが母親に悩みを打ち明けたいのに打ち明けられない葛藤、グウェンが友情と任務の間で揺れ動く姿、ミゲルが過去のトラウマから厳格になってしまった理由など、それぞれのキャラクターに共感できる部分がありました。

特にグウェンと父の和解シーンは感動的で、彼女が運命を変えることができた瞬間は希望に満ちていましたよ。

マイルスとグウェンの関係性も微妙な距離感が絶妙に描かれており、青春映画としての側面も楽しめます。

カノンイベントという概念の面白さ

運命を変えてはいけないというルールは、スパイダーマンという存在の本質に関わる重要なテーマです。

ミゲルの言い分も理解できるだけに、マイルスとの対立はより深みを持っています。

「大切な人を失うことでヒーローは成長する」という考え方は、ある意味では正しいかもしれません。

しかしそれでも「大切な人を守りたい」というマイルスの想いに共感してしまうのは、人間として当然の感情でしょう。

この哲学的な問いかけが、単なるヒーロー映画の枠を超えた作品の深さを生み出していますよ。

前編であることの残念さと期待

正直なところ、前編であることを知らずに観た人は肩透かしを食らった感覚があったかもしれません。

物語が最高潮に達したところで「To be continued」となるため、消化不良を感じる部分もあります。

しかしこれだけの盛り上がりを作っておいて続編に期待させる手法は、ある意味で制作陣の自信の表れとも言えるでしょう。

続編の公開が2027年まで延期されたことは残念ですが、その分クオリティの高い作品を作ってくれることを期待したいですね。

音楽とのシンクロも素晴らしい

本作のサウンドトラックも見逃せません。

ヒップホップやドラムンベースを基調とした音楽が、映像と完璧にシンクロし、スタイリッシュな世界観を作り上げています。

グウェンがドラムを叩くシーンでは、彼女の感情が音楽として表現されており、音と映像の融合が見事でした。

各キャラクターに合わせた音楽の使い分けも秀逸で、まさに五感で楽しめる映画になっていますよ。

前作『スパイダーマン:スパイダーバース』を観るべき?

本作を最大限楽しむためには、前作を観ておくことを強くおすすめします。

前作を観ていなくても物語は理解できますが、以下の点で前作を知っていると格段に楽しめます。

マイルスの成長過程が分かる

前作ではマイルスがスパイダーマンになる過程が描かれています。

最初は未熟だったマイルスが、ピーター・B・パーカーの指導を受けて成長し、最終的には立派なヒーローになる姿は感動的です。

本作ではすでにスパイダーマンとして活躍しているマイルスの姿が描かれるため、前作との比較で彼の成長を実感できますよ。

グウェンとの出会いと別れ

前作でマイルスとグウェンは出会い、共に戦い、そして別れます。

二人が次元を超えた友情を育む過程を知っていると、本作でのグウェンの再登場がより感動的に感じられるでしょう。

マイルスがグウェンを想い続けている理由も、前作を観れば納得できます。

スパイダーバースの概念理解

マルチバース、次元、カノンイベントといった概念は、前作で基礎が説明されています。

本作から観始めると少し複雑に感じる部分も、前作を観ていればスムーズに理解できますよ。

ザ・スポット誕生の経緯

ザ・スポットがなぜこの姿になったのか、それが前作の事件に起因していることを知っていると、彼の復讐心の意味がより深く理解できます。

前作と本作は密接に繋がっているため、できれば両作品を続けて観ることをおすすめしますよ。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』はどこで観られる?配信情報

本作を視聴したい方のために、配信情報をお伝えします。

主要な動画配信サービス

現在、本作は複数の動画配信サービスで視聴可能です。

Netflixでは見放題作品として配信されており、月額料金のみで視聴できますよ。

Amazon Prime Videoでもレンタルまたは購入で視聴可能です。

U-NEXTやdTV、TELASAなどでも配信されているため、ご自身が利用しているサービスで確認してみてください。

劇場での鑑賞がおすすめ

もし再上映などの機会があれば、ぜひ劇場での鑑賞をおすすめします。

本作の圧倒的な映像と音響は、大画面と高音質で観てこそ真価を発揮します。

自宅で観るのも良いですが、劇場の没入感は格別ですよ。

前作も一緒にチェック

前作『スパイダーマン:スパイダーバース』も同じく各動画配信サービスで視聴可能です。

週末を使って両作品を一気に観るのも良いでしょう。

前作→本作の順で観ることで、マイルスの成長をより実感できますよ。

続編『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース』への期待

最後に、待望の続編についての情報と期待をまとめます。

公開時期について

当初2024年公開予定だった続編は、現在2027年6月末に延期されています。

制作の遅延は残念ですが、その分クオリティの高い作品を作り上げてくれることでしょう。

前作と本作の間も5年空いており、その間に映像技術が大幅に進化したように、続編も新たな驚きを与えてくれるはずです。

続編で描かれるであろう展開

続編ではマイルスがアース42からどのように脱出するのか、そして父を救うことができるのかが最大の焦点となります。

グウェンが結成した新チームの活躍も楽しみですね。

前作で共に戦った仲間たちが再び集結し、マイルスを救うために奔走する姿が描かれるでしょう。

また、悪役のマイルスとの対決も大きな見どころになるはずです。

もう一人の自分と向き合うことで、マイルスは何を学ぶのでしょうか。

さらにザ・スポットがどこまで強大な存在になるのか、そしてマルチバース全体の危機をどう乗り越えるのかも注目ポイントです。

カノンイベントは変えられるのか

続編の最大のテーマは「運命は変えられるのか」という問いへの答えでしょう。

マイルスは父の死という運命を変えることができるのか、それともミゲルの言う通り運命には抗えないのか。

この問いへの答えが、続編で明らかになるはずです。

もしマイルスが運命を変えることに成功すれば、それは全てのスパイダーマンにとって希望の光となるでしょう。

続編では多くの謎が解き明かされ、感動的な結末を迎えることを期待したいですね。

まとめ:『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』は必見の傑作!

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』は、革新的な映像表現と深いテーマ性を持った傑作アニメーション映画です。

前作を超える圧倒的な映像美、240人以上のスパイダーマンが集結する豪華さ、親子の絆や運命への抵抗という普遍的なテーマ、そして続編への期待を最大限に高める物語展開と、全ての要素が高いレベルで融合しています。

前編で終わることに賛否はありますが、それを差し引いても十分に楽しめる作品になっていますよ。

マイルスの成長と決断、グウェンの葛藤と決意、ミゲルの信念とトラウマなど、キャラクター一人ひとりに深いドラマがあり、何度観ても新しい発見があるでしょう。

まだ観ていない方は、ぜひ前作『スパイダーマン:スパイダーバース』から視聴して、この壮大なマルチバースの冒険を体験してください。

そして2027年の続編公開まで、本作を繰り返し観て新たな発見を楽しみながら待ちましょう。

運命に抗うマイルスの勇気と、彼を支える仲間たちの絆は、きっとあなたの心に深く刻まれるはずです。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』は、アニメーション映画の新たな可能性を示した作品であり、映画史に残る傑作と言えるでしょう。

ぜひこの感動を体験してみてくださいね!