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PERFECT DAYS/パーフェクト・デイズのあらすじと感想!ラストシーンの涙の意味を徹底考察

カンヌ映画祭で男優賞受賞!役所広司主演『PERFECT DAYS/パーフェクト・デイズ』とは

2023年に公開された映画『PERFECT DAYS/パーフェクト・デイズ』は、第76回カンヌ国際映画祭で役所広司が最優秀男優賞を受賞したことで大きな話題となりました。

日本人俳優がカンヌで男優賞を受賞するのは19年ぶりという快挙で、世界中から注目を集めた作品なんですよ。

ドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース監督が東京を舞台に描いた本作は、トイレ清掃員という一見地味な職業の男性の日常を静かに映し出していきます。

派手なアクションも劇的な展開もない、ただ淡々と繰り返される日常──それなのに、観た人の心に深く残り、何日も頭から離れなくなる不思議な魅力を持った映画です。

この記事では、『PERFECT DAYS』のあらすじから見どころ、ラストシーンの考察、そして実際に観た感想まで、ネタバレを含めて徹底的に解説していきますよ。

『PERFECT DAYS』の基本情報

作品データ

まず、映画の基本情報を押さえておきましょう。

監督は『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』などで知られる世界的な巨匠、ヴィム・ヴェンダース。

主演は日本を代表する名優、役所広司が務めています。

製作国はドイツと日本の共同制作で、上映時間は124分。

2023年5月に第76回カンヌ国際映画祭でワールドプレミアが行われ、同年12月に日本で劇場公開されました。

主要キャスト

役所広司演じる主人公・平山のほか、柄本時生、中野有紗、山田葵、麻生祐未、田中泯など、実力派俳優陣が脇を固めています。

特に注目したいのは、ほぼセリフのない演技で役所広司が表現する平山という人物の深さですよ。

『PERFECT DAYS』あらすじ(ネタバレなし版)

東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山は、毎日同じルーティンで生活しています。

朝、同じ時間に目覚めると、丁寧に身支度を整え、愛車のバンで仕事場へ向かいます。

車内で聴くのは、カセットテープから流れる懐かしい音楽。

仕事では、渋谷区内の公共トイレを一つひとつ丁寧に清掃していきます。

古びたアパートでの一人暮らし、銭湯通い、地下街の居酒屋での夕食、そして寝る前の読書──平山の日々は、同じことの繰り返しに見えるかもしれません。

しかし彼は、木漏れ日をフィルムカメラで撮影し、小さな幸せを見つけながら、自分なりの「完璧な日々」を過ごしているのです。

そんな平穏な日常に、ある日突然、思いがけない出来事が訪れます。

それは、平山の過去を少しずつ明らかにし、彼の心を静かに揺さぶっていくのです。

主人公・平山という人物の魅力

丁寧に生きる姿勢

平山という人物の最大の魅力は、その生き方の丁寧さにあります。

トイレ清掃という仕事に手を抜かず、道具まで自分でこしらえて黙々と働く姿は、職人のようでさえありますよ。

彼の部屋には綺麗に並べられたカセットテープ、年代ごとに整理された木漏れ日の写真、ゴミひとつない清潔な空間──すべてが平山の几帳面で誠実な人柄を物語っています。

小さな幸せを見つける天才

多くの人が見逃してしまうような、木々の間から差し込む木漏れ日。

平山はそんな些細な美しさに目を留め、毎日フィルムカメラで撮影します。

現像した写真を眺める時間、古本を読む時間、銭湯で身体を休める時間──彼にとってこれらはすべて、かけがえのない「完璧な瞬間」なのです。

物質的な豊かさや社会的地位を求めず、身近な幸せを見つけるプロフェッショナル。

それが平山という人物の本質だと言えるでしょう。

『PERFECT DAYS』あらすじ詳細(ネタバレあり)

ここからは、物語の詳細をネタバレありで解説していきます。

まだ映画を観ていない方は、鑑賞後に読むことをおすすめしますよ。

平凡な日常の繰り返し

平山の一日は、いつも同じように始まります。

目覚まし時計が鳴る前に目を覚まし、古びたアパートの部屋で身支度を整え、バンに乗り込んで仕事場へ。

カセットデッキから流れるのは、ルー・リードやパティ・スミスといった70年代のロック音楽。

渋谷区内の公共トイレを次々と清掃していく平山の手際は、まさに熟練の技です。

昼食は自動販売機で買ったパンとコーヒー、公園のベンチで木漏れ日を眺めながらの休憩時間。

仕事を終えると銭湯へ向かい、地下街の居酒屋「スナックひまわり」で夕食をとります。

アパートに戻ると、古本屋で買った小説を読みながら眠りにつく──これが平山の「完璧な日々」なのです。

若い同僚タカシとの関わり

平山の職場には、若い同僚のタカシがいます。

彼は仕事中にスマートフォンばかり見ていて、平山とは対照的な人物として描かれています。

ある日、タカシは突然仕事を辞めてしまいます。

平山は黙々と、タカシが担当していたトイレまで清掃してまわりますが、さすがに限界を感じ、会社に電話をかけます。

「毎日は無理だからね」──普段寡黙な平山が、はっきりと意思を伝える貴重なシーンです。

姪・ニコの突然の訪問

物語の転機となるのが、平山の姪・ニコの突然の訪問です。

母親と喧嘩をして家出してきたニコは、叔父である平山のアパートに転がり込みます。

カセットテープの音楽に興味を示すニコに、平山は優しく接します。

「Spotifyはどこにあるの?」と尋ねるニコとのやりとりは、世代間のギャップを感じさせながらも、どこか温かい空気に満ちています。

数日後、平山の妹でありニコの母・ケイコが迎えにやってきます。

高級車で現れたケイコは、平山の住むアパートを見て「こんなとこ住んでるのね」「本当にトイレ掃除してるの?」と問いかけます。

この会話から、平山がかつて裕福な家庭出身であること、何らかの理由で今の生活を選んだことが示唆されるのです。

妹を抱擁する平山、涙ぐむケイコ──もう会うことはないであろうことを、二人とも悟っているかのようなシーンでした。

謎の女性・アヤとの出会い

いつもの居酒屋で、平山は謎の女性・アヤと言葉を交わすようになります。

ある夜、アヤは突然平山にキスをしますが、その真意は明かされません。

この出来事もまた、平山の平穏な日常に小さな波紋を投げかけます。

圧巻のラストシーン

そして訪れる、映画のラストシーン。

いつものように仕事へ向かう車の中で、「FEELING GOOD」が流れます。

ハンドルを握る平山の表情が、徐々に変化していきます。

笑顔になったかと思えば、次の瞬間には涙があふれ、また笑顔に戻る──その表情の変化を、ヴェンダース監督は正面からのアップで長回しで捉えます。

この数分間のシーンこそが、この映画最大の見どころであり、最大の謎なのです。

ラストシーンの涙の意味を考察!多様な解釈が可能な名シーン

解釈①:過去との和解と感謝の涙

一つの解釈として、平山の涙は「感動と感謝」を表しているという見方があります。

妹やニコとの再会によって、自分の過去と向き合うきっかけを得た平山。

裕福な生活を捨て、自ら選んだトイレ清掃員という職業と、質素だけれど心豊かな毎日。

それが自分にとっての「PERFECT DAYS(完璧な日々)」であることを、改めて実感したのではないでしょうか。

涙と笑顔が混ざり合う表情は、人生の喜びと悲しみの両方を受け入れ、すべてに感謝している証だと考えられますよ。

解釈②:抑え込んできた感情の解放

別の解釈としては、平山が長年抑え込んできた複雑な感情が、一気に溢れ出したという見方もあります。

「くやしさ・後悔・やるせなさ」といったネガティブな感情と、「安らぎ・満足・幸福」というポジティブな感情が同時に押し寄せてきた瞬間──それがあのラストシーンだという考え方です。

家族との確執、捨てた社会的地位、選んだ孤独。

それらすべてを背負いながら生きてきた平山の心の内が、ついに表に現れたのかもしれません。

解釈③:日常の尊さへの気づき

また、「毎日は同じことの繰り返しじゃない」というメッセージを体現したシーンだという解釈もあります。

同じように見える日々でも、実は一日として同じ日はない。

木漏れ日の形は毎日違い、出会う人も変わり、感じる感情も刻々と変化していく。

そんな日常の尊さと美しさに、平山自身が深く感動しているのだという見方ですね。

正解のない、それぞれの解釈

ヴェンダース監督は、このラストシーンについて明確な答えを提示していません。

だからこそ、観る人それぞれの価値観や人生観によって、解釈が大きく分かれるのです。

あなたは平山の涙をどう受け取りますか?

その答えこそが、あなた自身の人生観を映し出しているのかもしれませんよ。

実際に観た感想──心に残り続ける静かな傑作

セリフのない演技の凄み

役所広司の演技は、まさに圧巻の一言に尽きます。

本作では、主人公・平山のセリフは極めて少なく、ほとんどが表情や仕草だけで感情を表現しています。

それなのに、平山という人物の過去、現在、そして内面の葛藤が、手に取るように伝わってくるのです。

カンヌ映画祭で男優賞を受賞したのも当然だと納得できる、67歳の役所広司だからこそ成し得た演技でした。

音楽の使い方が素晴らしい

本作のもう一つの魅力が、音楽の使い方です。

ルー・リード、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、パティ・スミス、ニーナ・シモンなど、70年代のロックやソウルが効果的に使われています。

特にラストシーンで流れる「FEELING GOOD」は、映画全体のテーマを象徴する選曲だと言えるでしょう。

カセットテープという古いメディアから流れる音楽が、平山の生き方とリンクしていく様子も印象的でした。

THE TOKYO TOILETプロジェクトの美しさ

本作は、「THE TOKYO TOILETプロジェクト」で実際にリニューアルされた渋谷区の公共トイレが舞台になっています。

隈研吾、坂茂、安藤忠雄といった世界的建築家が手がけたトイレは、どれもスタイリッシュで美しく、公共空間に対する意識を変えてくれますよ。

暗くて汚いというイメージを覆す、アートのようなトイレが次々と登場するのも見どころの一つです。

賛否両論あるからこそ面白い

正直に言うと、この映画は万人受けする作品ではありません。

派手な展開もなく、淡々と日常が描かれるだけなので、「つまらない」「何が言いたいのかわからない」という感想を持つ人もいるでしょう。

実際、私が観た上映回でも、途中で席を立つ人が何人かいました。

しかし、そうした賛否両論こそが、この映画の奥深さを物語っているのです。

観る人の年齢、境遇、価値観によって、まったく違う受け取り方ができる──それこそが『PERFECT DAYS』の魅力だと感じました。

観終わった後も考え続けてしまう

この映画の不思議なところは、観終わった後も頭から離れなくなることです。

「平山はなぜあの生活を選んだのか」「ラストの涙の意味は」「自分にとっての完璧な日々とは何か」──そんな問いが、何日も心の中で反芻され続けるのです。

すぐに答えが出る映画ではなく、時間をかけてゆっくりと心に染み込んでくる作品だと言えるでしょう。

『PERFECT DAYS』はどこで見れる?最新の配信情報

Amazon Prime Videoで見放題配信中

『PERFECT DAYS』は、Amazon Prime Videoで見放題配信されています。

プライム会員なら追加料金なしで視聴できるので、まだ観ていない方はこの機会にぜひチェックしてみてください。

初回登録なら30日間無料体験もできますよ。

U-NEXTでもレンタル配信

U-NEXTでは、レンタル作品として配信されています。

毎月付与される1,200ポイントを使えば、実質無料で視聴することも可能です。

無料体験期間中でも600ポイントがもらえるので、お得に観られますよ。

その他の配信サービス

DMM TV、Lemino、Huluなどでもレンタル配信が行われています。

自分が普段使っている動画配信サービスで、ぜひチェックしてみましょう。

また、Blu-rayやDVDも発売されているので、じっくり何度も観たい方は購入を検討してもいいかもしれませんね。

こんな人におすすめ!『PERFECT DAYS』を観るべき人とは

日常の小さな幸せを大切にしたい人

派手な出来事や大きな変化ではなく、日々の些細な瞬間に幸せを見出したいと思っている人には、強く響く作品です。

木漏れ日の美しさ、温かいコーヒーの香り、好きな音楽を聴く時間──そんな「小さな完璧」に気づかせてくれる映画ですよ。

生き方に悩んでいる人

社会的成功や他人の評価に縛られず、自分らしい人生を選ぶことの大切さを教えてくれる作品です。

「このままでいいのだろうか」と悩んでいる人にこそ、観てほしい映画だと言えるでしょう。

役所広司のファン

役所広司の演技力を堪能したいファンにとっては、必見の作品です。

セリフの少ない役柄で、これほどまでに豊かな感情表現ができる俳優は、そう多くはありません。

カンヌで男優賞を受賞した演技を、ぜひあなた自身の目で確かめてください。

アート映画や監督映画が好きな人

ヴィム・ヴェンダースというドイツの巨匠が、日本の東京という舞台で何を描こうとしたのか。

その芸術性の高さを味わいたい映画ファンには、たまらない一本になるはずですよ。

まとめ──あなたにとっての「PERFECT DAYS」を見つけよう

映画『PERFECT DAYS/パーフェクト・デイズ』は、トイレ清掃員の淡々とした日常を通して、人生の本質的な問いを投げかけてくる作品です。

役所広司の圧倒的な演技、美しい映像、効果的な音楽の使い方、そして多様な解釈が可能なラストシーン──すべてが計算し尽くされた、静かな傑作だと言えるでしょう。

「毎日同じことの繰り返しでつまらない」と感じている人こそ、この映画を観てほしいのです。

実は一日として同じ日などなく、すべての瞬間がかけがえのない「完璧な日々」なのだと気づかせてくれますよ。

Amazon Prime Videoをはじめとする各種動画配信サービスで視聴できるので、ぜひ今すぐチェックしてみてください。

観終わった後、あなた自身の「PERFECT DAYS」について、きっと考えずにはいられなくなるはずです。

平山のように、小さな幸せを見つける目を持って生きていきましょう。