ロゴ

TOP > 『すずめの戸締まり』あらすじと感想を徹底解説!新海誠監督が描く感動の物語

『すずめの戸締まり』あらすじと感想を徹底解説!新海誠監督が描く感動の物語

新海誠監督最新作『すずめの戸締まり』完全ガイド!あらすじから感想まで徹底解説

『君の名は。』『天気の子』で世界中を魅了した新海誠監督の最新作『すずめの戸締まり』。

2022年11月の公開以降、国内外で高い評価を受け続けているこの作品について、あらすじから感想、見どころまで詳しくご紹介します。

これから観る方もすでに観た方も、作品の魅力を再発見できる内容になっていますよ。

『すずめの戸締まり』ってどんな映画?基本情報をチェック

作品概要と公開情報

『すずめの戸締まり』は、新海誠監督が脚本・原作も手掛けた長編アニメーション映画です。

2022年11月11日に日本で公開され、その後世界140カ国以上で上映されました。

制作はコミックス・ウェーブ・フィルムとSTORY inc.が担当し、新海監督らしい美しい映像表現が随所に散りばめられています。

新海誠監督からのメッセージ

本作は東日本大震災から11年という節目に製作された作品です。

新海監督は「どんなことを経験しても、その後も人は生きていくことができる。苦しみや困難の先には希望がちゃんとある」というメッセージを込めて、この作品を作り上げました。

過去の震災をファンタジーとして描くことには勇気が必要でしたが、震災を知らない若い世代にも伝えるべき物語として、真摯に向き合った作品になっていますよ。

興行成績と評価

国内興行収入は148億円を突破し、2022年の日本映画興行収入ランキングで第1位を獲得しました。

海外でも高く評価され、新海誠監督の地位をさらに確固たるものにした作品と言えるでしょう。

『すずめの戸締まり』のあらすじ【ネタバレなし版】

物語の始まり

九州の静かな港町で叔母の環と暮らす17歳の女子高生、岩戸鈴芽(いわとすずめ)。

ある日の登校中、鈴芽は「扉を探しているんだ」という美しい青年・宗像草太(むなかたそうた)とすれ違います。

彼のことが気になった鈴芽は、草太が向かったと思われる山中の廃墟へと足を運びました。

不思議な扉との出会い

廃墟で鈴芽が見つけたのは、まるでそこだけが崩壊から取り残されたようにぽつんとたたずむ古ぼけた白い扉。

何かに引き寄せられるように扉に手を伸ばすと、その向こうには美しい星空が広がる不思議な世界が見えました。

しかし扉の傍にあった石を抜いてしまったことで、日本各地で次々と扉が開き始めてしまうのです。

戸締まりの旅へ

草太は災いをもたらす扉を閉める「閉じ師」という役目を担っていました。

扉の向こう側からは「ミミズ」と呼ばれる災いが這い出し、それが地上に落ちると大地震が発生してしまいます。

鈴芽が抜いてしまった石「カナメ石」は猫の姿に変わり、さらに草太を椅子の姿に変えて逃走してしまいます。

こうして鈴芽は、椅子になってしまった草太と共に、日本各地の扉を閉める「戸締まりの旅」に出ることになるのです。

旅先での出会いに助けられながら、鈴芽が辿り着く先には、忘れられていたある真実が待っていました。

『すずめの戸締まり』詳細あらすじ【ネタバレあり】

九州から四国、そして神戸へ

石を抜いてしまった鈴芽は、猫に変身したカナメ石「ダイジン」と、椅子に変えられた草太を追いかけて、宮崎県から愛媛県へとフェリーで向かいます。

SNSでダイジンの場所を追いながら旅を続ける二人は、廃校となった学校で「後ろ戸」を発見し、なんとか閉めることに成功しました。

旅の途中で出会った民宿で働く千果や、神戸のスナックを経営するルミなど、各地で出会う人々の優しさに支えられながら、鈴芽は前へ進んでいきます。

神戸の廃墟となった遊園地では、観覧車に現れた「後ろ戸」から巨大な「ミミズ」が出現しました。

東京での衝撃的な出来事

東京へと向かった鈴芽は、草太の友人である芹澤朋也と出会います。

そこで草太は、最初にダイジンに触れた際に自分自身が「カナメ石」の役割を引き継いでしまったことに気づくのです。

東京に現れた巨大な「ミミズ」を止めるため、草太は自らが「カナメ石」となって「ミミズ」に突き刺さることを選択します。

鈴芽は泣きながらも、数十万人を救うために草太を「ミミズ」へと突き刺しました。

この決断は、鈴芽にとって何よりも辛い選択だったのです。

宮城へ、そして常世へ

草太を助けるため、鈴芽は母と住んでいた宮城へと向かいます。

叔母の環、草太の友人・芹澤、そしてダイジンとサダイジンと共に、長い道のりを経て実家跡へ。

津波で家は跡形もなくなっていましたが、鈴芽は幼い頃の日記を頼りに「後ろ戸」を見つけ出し、「常世」と呼ばれる死者の世界へと足を踏み入れます。

常世では巨大な「ミミズ」がうごめいており、サダイジンが「ミミズ」と戦う中、鈴芽は「カナメ石」となった草太を発見しました。

自分自身を救う旅の終わり

「私が『カナメ石』になる」と宣言した鈴芽の言葉を聞いたダイジンは、草太を抜くことに協力します。

人間の姿を取り戻した草太と共に、ダイジンとサダイジンの「カナメ石」を「ミミズ」に突き刺し、災いを消滅させることに成功しました。

常世で鈴芽は、母を失いさまよい歩いていた幼い頃の自分と出会います。

過去も現在も未来も時間が混ざり合う常世で、鈴芽は幼い自分に「私は、すずめの、明日」と語りかけ、母の形見である椅子を手渡しました。

自分自身を救ったのは、未来の自分だったのです。

全てが終わり、それぞれの日常を取り戻した鈴芽は、ある日登校途中に草太と再会し、「おかえり」と声をかけました。

『すずめの戸締まり』を観た感想と評価

圧倒的な映像美に心を奪われる

まず何と言っても、新海誠監督作品ならではの圧倒的な映像美には目を見張るものがありますよ。

扉の向こう側に広がる「常世」の星空、廃墟に佇む古びた扉、日本各地の美しい風景描写。

特に常世にズームインする演出や、積乱雲の描き方には、新海監督の観察眼と美的センスが存分に発揮されています。

道路の凹み、古い旅館の畳、生活感あふれるスナックの描写など、実写以上にリアルな日常風景の描き方は圧巻です。

まるで行ったことがあるかのような既視感を覚える風景描写は、新海監督だからこそ描ける世界と言えるでしょう。

ロードムービーとしての魅力

今作は新海作品としては珍しいロードムービーの形式を取っています。

宮崎から四国、神戸、東京、そして宮城へと、日本を縦断する旅の中で様々な人々と出会い、助けられていく展開は、観ている側も一緒に旅をしているような感覚になりますよ。

フェリー、ヒッチハイク、新幹線、オープンカーと、移動手段も多彩で、それぞれの乗り物から見える風景描写も美しく描かれています。

廃墟となった温泉街、廃校、遊園地など、人々の記憶から忘れ去られた場所を巡る旅は、日本の抱える過疎化問題や震災の記憶の風化というテーマとも重なっています。

震災をテーマにした勇気ある作品

東日本大震災から11年という節目に公開された本作は、震災を直接的に描いた作品です。

劇中では緊急地震速報が何度も鳴り響き、地震の恐怖を想起させる描写もありますが、それでも新海監督が震災をテーマに選んだ意味は大きいでしょう。

「忘れられていく廃墟に後ろ戸が現れる」という設定には、震災の記憶が風化していくことへの危機感と、それでも前を向いて生きていくことの大切さが込められています。

賛否両論はあるかもしれませんが、震災を知らない若い世代にも届けるべきメッセージとして、ファンタジーという形で描いたことには大きな意義があると感じました。

キャラクターの成長と心情描写

主人公・鈴芽の成長物語としても、本作は丁寧に描かれています。

叔母の環に対する罪悪感、母を失った喪失感、それらを抱えながらも前に進もうとする鈴芽の姿には共感できる部分が多いですよ。

椅子の姿になった草太という設定は一見コミカルですが、災いを止めるために自らが「カナメ石」となる覚悟を決める草太の姿には心を打たれました。

ダイジンというキャラクターも印象的です。

可愛らしい見た目とは裏腹に、神様としての役割と鈴芽への想いの間で揺れ動く姿は、賛否両論あるかもしれませんが、物語に深みを与えています。

音楽の力で物語が加速する

RADWIMPSが手掛ける音楽も、作品の魅力を引き立てる重要な要素です。

主題歌「カナタハルカ」「すずめ feat.十明」は、物語のテーマと見事に調和しています。

前作『君の名は。』や『天気の子』と比べると挿入歌の頻度は控えめですが、その分物語そのものに集中でき、本当に伝えたいメッセージが鮮明に伝わってきました。

劇伴音楽も陣内一真が担当し、緊張感あるシーンから感動的なシーンまで、場面ごとに適切な音楽が流れます。

賛否が分かれるポイントも

一方で、ストーリーの詰めの甘さや展開の強引さを指摘する声もあります。

旅先で出会う人々が全員良い人すぎる点や、一部の設定があえて説明されない点など、気になる部分がある方もいるでしょう。

また恋愛要素については、草太への一目惚れという設定に対して「理解できる」という意見と「共感できない」という意見が分かれています。

「君の名は。」や「天気の子」と比較すると、驚くような仕掛けや突き抜け感が少ないと感じる方もいるかもしれません。

ただしそれは裏を返せば、今作が恋愛よりも「自分自身を救う」というテーマに焦点を当てているからとも言えますね。

総合評価:観る価値のある良作

全体としては、映像美、音楽、ストーリー、メッセージ性のどれをとっても高水準な作品です。

新海誠監督ファンはもちろん、初めて新海作品に触れる方にもおすすめできる作品になっていますよ。

特に映画館の大画面で観ることで、その映像美を最大限に堪能できます。

「君の名は。」を超える衝撃を求める方には物足りなく感じるかもしれませんが、震災と向き合い、自分自身を救う物語として、観る価値は十分にある良作と言えるでしょう。

『すずめの戸締まり』の見どころポイント

扉の向こう側「常世」の美しさ

本作最大の見どころの一つが、扉の向こう側に広がる「常世」の描写です。

過去も現在も未来も時間が混ざり合う世界として描かれる常世は、美しい星空と草原が広がる幻想的な空間になっています。

廃墟に佇む扉を開けた瞬間、常世へとズームインしていく演出は、何度観ても息を呑む美しさですよ。

日本各地の廃墟描写

廃墟となった温泉街、学校、遊園地など、人々の記憶から忘れ去られた場所が「後ろ戸」として機能するという設定も興味深いポイントです。

かつて賑わっていた場所が朽ち果てていく様子は、どこか切なさを感じさせます。

これらの廃墟描写には、日本が抱える人口減少や過疎化という社会問題も反映されているのでしょう。

鈴芽と幼い鈴芽の対面シーン

物語のクライマックスである、常世で鈴芽が幼い頃の自分と対面するシーンは、本作で最も感動的な場面です。

「私は、すずめの、明日」という言葉には、過去の辛い経験を乗り越えて生きてきた鈴芽の強さと優しさが込められています。

母の形見である椅子を渡すシーンは、自分自身を救うことができるのは自分だけというメッセージが込められていますよ。

ダイジンとサダイジンの存在

猫の姿をした神様であるダイジンとサダイジンも、物語の重要なキーパーソンです。

可愛らしい見た目とは裏腹に、人間の言葉を話し、時に残酷な選択を迫るダイジンの姿は、まどマギのキュゥべえを彷彿させるという意見もあります。

最後にダイジンが「鈴芽の子にはなれなかった」と言って再び「カナメ石」に戻るシーンには、切なさを感じずにはいられません。

細部まで作り込まれた日常描写

新海監督らしい観察眼が光る日常描写も見逃せません。

道路の凹み、畳の質感、バーの雰囲気、古びた廃墟の描写など、実写以上にリアルな生活感が随所に散りばめられています。

見たことがあるような、でも特別な風景として描かれる日本各地の景色は、聖地巡礼したくなる魅力がありますよ。

声優・キャスト・音楽情報

主要声優キャスト

主人公・岩戸鈴芽役には、1700人を超えるオーディションから選ばれた原菜乃華さんが起用されました。

相手役の宗像草太役は、SixTONESの松村北斗さんが務め、初めての声優挑戦ながら草太の誠実な人柄を見事に演じています。

鈴芽の叔母・岩戸環役は深津絵里さん、草太の友人・芹澤朋也役は神木隆之介さんが担当しました。

特に芹澤役の神木さんは、新海作品常連の声優として安定した演技を見せています。

その他、染谷将太さん、伊藤沙莉さん、花瀬琴音さん、花澤香菜さん、松本白鸚さんなど、豪華キャストが集結していますよ。

音楽担当

音楽は『君の名は。』『天気の子』に続き、RADWIMPSの野田洋次郎さんと陣内一真さんが担当しています。

主題歌「カナタハルカ」はRADWIMPSが、もう一つの主題歌「すずめ feat.十明」は十明(とあか)さんをフィーチャリングした楽曲として制作されました。

劇中音楽も含めたサウンドトラックは、映画の世界観を深める重要な要素になっています。

『すずめの戸締まり』配信情報と視聴方法

動画配信サービス情報

『すずめの戸締まり』は、2025年1月1日からAmazonプライムビデオで見放題配信が開始されています。

プライム会員であれば追加料金なしで視聴できますので、まだ観ていない方はこの機会にチェックしてみてくださいね。

その他、U-NEXT、DMM TV、Huluなどでも有料レンタル(550円前後)で視聴可能です。

各サービスで無料トライアル期間を設けている場合もありますので、お得に視聴する方法を探してみましょう。

Blu-ray・DVD情報

4K Ultra HD Blu-ray、Blu-ray、DVDが発売されています。

特に4K Ultra HD版は、新海監督が「大きな画面で体験するに相応しい映像」を目指して作り込んだ映像美を、最高の画質で堪能できますよ。

特典映像やメイキング映像も収録されていますので、作品をより深く知りたい方にはおすすめです。

こんな人に『すずめの戸締まり』はおすすめ

新海誠作品のファン

『君の名は。』『天気の子』が好きな方には、間違いなくおすすめできる作品です。

新海監督らしい美しい映像表現と、切なくも前向きなメッセージが詰まっています。

美しいアニメーション映像を堪能したい方

ストーリー以上に、圧倒的な映像美を体験したい方にはぴったりの作品ですよ。

特に大画面で観ることで、その魅力を最大限に感じられるでしょう。

ロードムービーが好きな方

日本各地を巡る旅の物語が好きな方にもおすすめです。

様々な人との出会いと別れ、各地の美しい風景描写が楽しめます。

震災をテーマにした作品に関心がある方

東日本大震災をファンタジーという形で描いた本作は、震災の記憶を次世代に伝える作品としても価値があります。

ただし緊急地震速報の音や地震を想起させる描写がありますので、その点は注意が必要です。

成長物語・自己発見の物語が好きな方

主人公が旅を通じて成長し、自分自身を救う物語として、青春ドラマが好きな方にもおすすめできますよ。

まとめ:『すずめの戸締まり』は心に残る名作

新海誠監督の最新作『すずめの戸締まり』は、圧倒的な映像美、心に響くストーリー、素晴らしい音楽が三位一体となった珠玉の作品です。

17歳の少女が日本各地を巡り、災いをもたらす扉を閉めていくロードムービーでありながら、震災の記憶、自己成長、人とのつながりといった深いテーマが込められています。

「君の名は。」のような衝撃を求める方には物足りなく感じる部分があるかもしれませんが、震災から11年という節目に製作された本作には、今だからこそ伝えるべきメッセージが詰まっていますよ。

幼い頃の自分に「私は、すずめの、明日」と語りかけるシーンは、過去の辛い経験を乗り越えて生きてきた全ての人の心に響く名場面です。

まだ観ていない方は、ぜひ一度大画面で体験してみてください。

すでに観た方も、配信サービスで改めて観ることで、新たな発見があるかもしれません。

美しい映像、心に残るストーリー、そして未来への希望を感じさせてくれる『すずめの戸締まり』を、ぜひ多くの方に観ていただきたい作品ですね。