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『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』あらすじと感想!アカデミー賞7冠の理由とは

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』とは?アカデミー賞7部門受賞の快挙
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(原題:Everything Everywhere All at Once)は、2022年に製作されたアメリカのSFアクション映画です。
この作品は第95回アカデミー賞において、作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞、脚本賞、編集賞の計7部門を受賞するという快挙を成し遂げました。
監督はダニエル・クワンとダニエル・シャイナートの2人組「ダニエルズ」。
彼らは前作『スイス・アーミー・マン』でも独特な世界観を見せつけましたが、本作では更にパワーアップしたカオスでエモーショナルな作品を生み出したんですよ。
主演は『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』や『グリーン・デスティニー』で知られるミシェル・ヨー。
彼女がアジア系女優として史上初めてアカデミー主演女優賞を受賞したことも、映画史に残る大きな意義を持っています。
上映時間は約140分。
一見長く感じるかもしれませんが、マルチバースを駆け巡る怒涛の展開に、あっという間に時間が過ぎていくでしょう。
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』あらすじをネタバレありで徹底解説
ここからは、映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のあらすじを、ネタバレを含めて起承転結で詳しく解説していきます。
まだ映画をご覧になっていない方は、ご注意くださいね。
【起】破産寸前のコインランドリー経営者エヴリンの日常
物語の主人公は、アメリカでコインランドリーを経営する中年女性エヴリン・ワン。
中国から移住してきた彼女は、夫のウェイモンドと共に必死で店を切り盛りしていますが、経営は破産寸前の状態です。
そんな中、国税局(IRS)による税務監査が迫っており、大量の領収書をチェックしなければなりません。
さらに追い打ちをかけるように、中国から頑固な父ゴンゴンが旧正月のパーティーのためにやってきます。
娘のジョイは同性愛者で、恋人のベッキーをパーティーに連れてきたいと言いますが、エヴリンは保守的な父に理解されないと判断し、「ただの友達」として紹介するようジョイに要求。
この対応にジョイは深く傷つきます。
夫のウェイモンドは優しい性格ですが頼りにならず、実は密かに離婚届を準備していました。
国税局へ向かうエレベーターの中で、突然ウェイモンドの様子が一変します。
彼は「別のユニバースから来た」と語り、エヴリンの耳に奇妙な機器を取り付け、「君だけが全ユニバースを救える」と告げるのです。
【承】マルチバースの世界へ!ジョブ・トゥパキとの戦い
国税局の担当者ディアドラとの面談中、エヴリンは別ユニバースのウェイモンド(アルファウェイモンド)の指示に従って奇妙な行動を取ります。
靴を左右逆に履くという行動により、彼女は「バースジャンプ」に成功し、別のユニバースの自分自身にアクセスすることができるようになりました。
アルファウェイモンドによれば、全マルチバースを脅かす「ジョブ・トゥパキ」という存在がおり、エヴリンだけがその脅威に対抗できる力を持っているとのこと。
ジョブ・トゥパキの手下がディアドラの身体を乗っ取り、エヴリンを襲撃してきます。
エヴリンは「バースジャンプ」を繰り返し、アクションスターになっていた別ユニバースの自分からカンフーの技術を習得。
圧倒的な戦闘能力を手に入れたエヴリンは、次々と襲いかかる敵を倒していきます。
そしてついに、ジョブ・トゥパキの正体が明らかになります。
それは、なんと娘のジョイだったのです。
別のユニバースでエヴリンが危険な実験を行った結果、ジョイは全マルチバースを一度に体験してしまい、狂気に堕ちてしまったのでした。
【転】「ベーグル」が示す虚無と絶望
ジョブ・トゥパキとなったジョイは、エヴリンに「ベーグル」と呼ばれる黒いブラックホール状の特異点を見せます。
このベーグルは、あらゆるものを詰め込んだ存在であり、全マルチバースの真実を映し出すもの。
ベーグルを覗いたジョイは、無限の可能性の中で「人間の存在がいかにちっぽけで無意味か」を理解してしまいました。
全てを知ってしまったジョイは、もはや生きる意味を見出せず、虚無的な行動を繰り返しています。
彼女はエヴリンにもベーグルを見せ、同じ結論に達することを望んでいました。
エヴリンもベーグルの影響を受け、各ユニバースで虚無的な行動を取り始めます。
しかし、どのユニバースにおいても、優しく生きる夫ウェイモンドの姿がエヴリンの心を動かします。
ウェイモンドは「優しさこそが最強の武器だ」と説き、エヴリンに希望を与え続けるのです。
アルファユニバースの父ゴンゴンは、ジョイを殺すことで危機を救おうとしますが、エヴリンは断固として拒否。
娘を救うため、エヴリンは単身でジョイを追いかける決意を固めます。
【結】家族の愛が全てを救う感動のラスト
ベーグルに飲み込まれようとするジョイを止めるため、エヴリンはマルチバースを超えて戦い続けます。
しかし、エヴリンのアプローチは戦うことではありませんでした。
彼女は襲いかかってくる敵たちひとりひとりの悩みを解決し、「優しさ」で彼らを救っていくのです。
ある刺客には腰痛を治してあげ、ある刺客には愛を伝え、ある刺客には求めていたものを与えてあげる。
こうして、エヴリンは敵を味方に変えていきました。
そして、保守的だった父ゴンゴンにも、ジョイが同性愛者であることを告白し、ベッキーが大切な存在であることを伝えます。
ゴンゴンはこれを受け入れ、家族の絆が深まります。
最後に、ジョイと対峙したエヴリンは、複数のユニバースで彼女を抱きしめ、こう伝えました。
「この世界で意味のある時間は少ないかもしれない。でもその少ない時間を、あなたと一緒にいたい」
この言葉に心を動かされたジョイは、ベーグルに入ることを止め、家族のもとへ帰ってきます。
物語のラストでは、家族関係が修復され、エヴリンたちは再び国税局を訪れます。
ディアドラは彼らの改善を認め、穏やかな雰囲気の中で映画は幕を閉じます。
ただし、エヴリンの耳には今もマルチバースの音が聞こえ続けており、彼女の冒険はまだ終わっていないことを暗示して終わるのです。
登場人物とキャストの魅力を紹介
エヴリン・ワン(演:ミシェル・ヨー)
本作の主人公で、破産寸前のコインランドリーを経営する中年女性。
中国系移民として苦労してきた彼女は、英語が完璧ではなく、アメリカ社会でマイノリティとして生きる苦悩を抱えています。
ミシェル・ヨーは60歳を超えてなお、圧巻のアクションシーンをこなし、さらに繊細な感情表現で観客の心を掴みました。
本作でアジア系女優として史上初のアカデミー主演女優賞を獲得したことは、映画史における重要なマイルストーンですよ。
ウェイモンド・ワン(演:キー・ホイ・クァン)
エヴリンの夫で、優しいけれど頼りない性格。
しかし、マルチバースの世界では様々な姿を見せ、特にアクションシーンではウエストポーチをヌンチャクのように使う斬新な戦闘スタイルが印象的です。
キー・ホイ・クァンは、『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』や『グーニーズ』に子役として出演していましたが、その後アジア系俳優への役不足から長らく表舞台から離れていました。
本作での劇的なカムバックにより、アカデミー助演男優賞を獲得。
ゴールデングローブ賞でのスピルバーグへの感謝のスピーチは、多くの人の涙を誘いましたよ。
ジョイ・ワン / ジョブ・トゥパキ(演:ステファニー・スー)
エヴリンとウェイモンドの娘で、同性愛者。
母親に理解されないことへの苦悩を抱えており、マルチバースにおいては全てを破壊しようとする「ジョブ・トゥパキ」として立ちはだかります。
ステファニー・スーの演技は、傷ついた娘の繊細さと、虚無に堕ちた存在の恐ろしさを見事に表現しています。
ディアドラ(演:ジェイミー・リー・カーティス)
国税局の厳しい担当者。
マルチバースにおいては敵として襲いかかってきますが、別のユニバースではエヴリンの恋人になったり、最後には和解するなど、多面的な役柄を演じています。
ジェイミー・リー・カーティスは本作でアカデミー助演女優賞を獲得しました。
マルチバースとは?映画の世界観を解説
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の核となる概念が「マルチバース(多元宇宙)」です。
マルチバースとは、私たちが生きるこの宇宙とは別に、無数の平行宇宙が存在するという科学理論に基づいた設定。
映画の中では、エヴリンは「もしあの時、別の選択をしていたら」という無数の可能性の自分自身にアクセスします。
例えば、ウェイモンドと駆け落ちせずに実家に残っていた自分は、カンフースターになっています。
別のユニバースでは鉄板焼きのシェフになっていたり、ピザ屋の看板回しをしていたり、指がソーセージの世界に住んでいたり、岩になっていたり…。
これらの荒唐無稽な設定は、実はエヴリンの脳内世界を表現しているとも言えます。
監督のダニエル・クワンは、自身の母親がADHD(注意欠如・多動性障害)であったことから、この映画の着想を得たと語っています。
ADHDの症状として、何かに集中している最中に突然別のことに意識が飛んでしまう、ということがあります。
これをマルチバースという概念で表現したのが本作なんですよ。
さらに、監督はマルチバースを「インターネット」のメタファーとしても語っています。
ネットでは次々と異なるページ(ユニバース)に飛び、他人の人生を羨み、情報過多で疲弊していく。
そんな現代社会への警鐘も込められているのです。
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を観た感想!カオスだけど泣ける理由
最初は理解不能なカオス!でもそれがクセになる
正直に言いましょう。
この映画、最初の30分は何が起きているのか全く理解できません。
マルチバースが次々と切り替わり、奇妙な行動が続出し、下ネタギャグも満載。
「肛門にトロフィーを突き刺す」なんていうシュールすぎる展開に、思わず笑ってしまいます。
まるで悪趣味なMVを延々と見せられているような感覚になる人もいるでしょう。
しかし、このカオスこそが本作の魅力なんですよ。
ダニエルズ監督は、視聴者の予想を裏切り続けることで、エヴリンの混乱した精神状態を追体験させてくれます。
結局のところ、壮大な家族の物語だった
カオスな展開の裏に隠されていたのは、実はシンプルな家族愛の物語でした。
娘の同性愛を認められない母親と、認めてほしい娘の葛藤。
頼りない夫への不満と、その裏にある深い愛情。
保守的な父と、アメリカで生きる娘の価値観の違い。
これらの身近な問題を、マルチバースという壮大なスケールで描いたのが本作なのです。
ラスト近くで、エヴリンが「その少ない時間を、あなたと一緒にいたい」とジョイに伝えるシーンは、涙なしには観られません。
無限の可能性がある中で、それでも目の前にいる家族と過ごす時間を選ぶ。
そのシンプルな愛の形が、心に深く響きますよ。
「優しさ」こそが最強の武器というメッセージ
本作のもうひとつの重要なテーマが「優しさ」です。
頼りないと思われていたウェイモンドが、実は「優しさ」という最強の武器を持っていたことが明かされます。
エヴリンも、敵を倒すのではなく「優しさ」で救っていくことで、真の強さを手に入れます。
争いや不寛容が絶えない現代社会において、「優しくなれ」というメッセージは、とてもシンプルでありながら強力です。
SNSでの誹謗中傷や、分断が進む世界に対する、ダニエルズからの平和的なメッセージと言えるでしょう。
面白い!と感じるポイント・見どころ
ジャンルのごちゃ混ぜ感が最高!
本作は、SFアクション、コメディ、ヒューマンドラマ、恋愛、ホラー要素など、ありとあらゆるジャンルが詰め込まれたごった煮ムービー。
カンフーアクションの次はシュールギャグ、その次は感動シーン、と目まぐるしく展開が変わります。
しかも、そのどれもが高クオリティなんですよ。
一本の映画で何本分もの映画を観たような充実感が得られます。
映画オマージュが満載!
映画ファンなら思わずニヤリとする、数々のオマージュも本作の魅力です。
ウォン・カーウァイ監督の『花様年華』を彷彿とさせる儚い恋愛シーンや、『レミーのおいしいレストラン』のようなシェフと動物のシーン(本作ではアライグマ!)。
『2001年宇宙の旅』や『マトリックス』へのリスペクトも感じられます。
オタク監督ならではの遊び心が随所に散りばめられていますよ。
60歳のミシェル・ヨーのアクションが圧巻
60歳を超えてなお、ここまで動けるミシェル・ヨーには脱帽です。
カンフーアクションはもちろん、感情表現の幅も素晴らしく、まさに彼女のキャリアの集大成と言える演技でした。
キー・ホイ・クァンのウエストポーチヌンチャクも必見ですよ。
つまらない・わからないと感じる人もいる?賛否両論な理由
ストーリーが複雑で理解しにくい
マルチバースが次々と切り替わるため、展開についていけないと感じる人もいるでしょう。
「結局何が言いたかったの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
特に1回目の鑑賞では情報量が多すぎて、消化不良になる可能性があります。
下ネタや奇妙なシーンが合わない人も
本作には、かなりシュールな下ネタやグロテスクなシーンが登場します。
こうした悪ノリが苦手な人には、正直おすすめできません。
王道のエンターテイメント映画を期待している人には刺さらない可能性が高いです。
カンフー要素は意外と少ない
ミシェル・ヨー主演ということで、本格的なカンフーアクションを期待する人もいるでしょう。
しかし、実際のカンフーシーンは意外と少なく、前半のウェイモンドのアクションがピークかもしれません。
純粋なアクション映画としては物足りなさを感じる可能性があります。
2回観ると理解が深まる作品
本作は、1回目より2回目の方が断然楽しめる映画です。
全体の構造を理解した上で観ると、冒頭から涙が出てくるほど感動が増します。
できれば2回鑑賞することをおすすめしますよ。
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を配信で視聴する方法
現在視聴可能な動画配信サービス一覧
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は、現在以下の動画配信サービスで視聴可能です。
Amazon Prime Video(見放題)
U-NEXT(見放題)
Netflix(見放題)
Hulu(見放題)
Apple TV+(レンタル・購入)
おすすめの視聴方法
初めて視聴するなら、無料トライアル期間のあるU-NEXTやAmazon Prime Videoがおすすめです。
U-NEXTは31日間の無料トライアル、Amazon Prime Videoは30日間の無料体験ができます。
既にいずれかのサービスに加入している方は、見放題で楽しめますよ。
レンタルや購入でじっくり何度も観たい方は、Apple TV+での購入もおすすめです。
字幕版と吹替版の両方が用意されているので、お好みに合わせて選べます。
まとめ:観る人を選ぶけれど、刺さる人には刺さる傑作
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は、間違いなく万人受けする映画ではありません。
カオスで理解しにくく、奇妙なシーンも多く、好き嫌いがハッキリ分かれる作品です。
しかし、このぶっ飛んだ世界観の裏には、普遍的な家族愛のテーマが隠されています。
マルチバースという壮大な設定を使いながら、結局は目の前の家族と過ごす時間の大切さを伝える。
優しさこそが最強の武器だと教えてくれる。
そんなシンプルで深いメッセージが、この映画の本質なんですよ。
アカデミー賞7部門受賞という快挙も納得の、独創性と完成度を兼ね備えた傑作です。
カオスを楽しめる方、家族の絆に心を動かされる方、斬新な映像表現を求める方には、強くおすすめしますよ。
ぜひ、マルチバースの世界に飛び込んで、エヴリンと共に冒険してみてください。
そして、できれば2回観て、その深さを味わってみてくださいね。
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