『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』を観る前に知っておきたいこと

「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」は、2023年に公開されたマーティン・スコセッシ監督の西部劇サスペンス映画です。

レオナルド・ディカプリオとロバート・デ・ニーロという二大巨頭が初共演を果たし、1920年代のオクラホマで実際に起きた先住民オセージ族連続殺人事件を描いた衝撃の実話を基にした作品なんですよ。

上映時間は3時間26分と長尺ですが、重厚なストーリーテリングと圧倒的な映像美で、時間を忘れさせてくれる傑作です。

本記事では、あらすじをネタバレありで詳しく解説し、視聴後の感想や見どころ、実話の背景まで徹底的にご紹介します。

これから視聴を考えている方も、すでに観た方も、この記事を読めばさらに作品の理解が深まるはずですよ。

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』基本情報

作品概要

本作は、ジャーナリストのデヴィッド・グランが執筆したベストセラーノンフィクション『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』を原作としています。

製作はApple Original Films、配給はパラマウント・ピクチャーズが担当し、劇場公開後はApple TV+で独占配信されました。

2024年の第96回アカデミー賞では、作品賞・監督賞・主演女優賞・助演男優賞など10部門にノミネートされ、世界中から高い評価を受けています。

また第81回ゴールデングローブ賞では、リリー・グラッドストーンが最優秀主演女優賞（ドラマ部門）を受賞し、作品の芸術性が証明されました。

監督とキャスト

監督は『タクシードライバー』『グッドフェローズ』『ディパーテッド』など数々の名作を生み出してきたマーティン・スコセッシです。

主演のレオナルド・ディカプリオは、スコセッシ監督作品の常連であり、本作で6度目のタッグとなります。

共演のロバート・デ・ニーロもまた、スコセッシ監督と長年コンビを組んできた名優で、今回が10度目の共演です。

そして本作で最も注目すべきは、オセージ族の女性モリー・カイル役を演じたリリー・グラッドストーンの圧倒的な存在感でしょう。

彼女の静かで力強い演技が、作品全体に深い感動をもたらしています。

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』あらすじ（ネタバレあり）

物語の始まり：石油がもたらした富と悲劇

1920年代のアメリカ・オクラホマ州オセージ郡。

先住民のオセージ族が暮らす居留地で、ある日突然、大地から石油が噴き出しました。

この石油の発見により、オセージ族は一夜にして世界でも有数の富裕層となり、豪華な車や邸宅、最新のファッションを楽しむようになります。

しかし、この莫大な富は、財産目当ての白人たちを引き寄せることになりました。

オセージ族の女性と結婚し、相続権を狙う白人男性が続出し、町は一攫千金を夢見る有象無象の白人で溢れかえります。

さらに、オセージ族には「後見人制度」という差別的な仕組みが適用されており、彼らは自分の財産を自由に使うことができず、白人の後見人の許可が必要でした。

この制度の根底には、「先住民は知性が低く、金銭管理ができない」という人種差別的な思想がありました。

アーネストとモリーの出会い

第一次世界大戦から帰還した復員兵アーネスト・バークハートは、腹部に銃創があり重労働ができないため、叔父のウィリアム・ヘイル（通称キング）を頼ってオセージ郡にやってきます。

キングは地元の有力者で、大規模な牧場を経営し、オセージ族からも信頼される人物として知られていました。

アーネストは叔父の勧めで、オセージ族を送迎するタクシー運転手として働き始めます。

そこで出会ったのが、純血のオセージ族の女性モリー・カイルでした。

モリーは糖尿病を患いながらも気品があり、家族思いの女性です。

アーネストは当初、叔父に「オセージ族の女性と結婚すれば財産が手に入る」と唆されていましたが、次第にモリーに本気で恋をしていきます。

2人は結婚し、子どもにも恵まれ、幸せな家庭を築いていくように見えました。

次々と起こる不可解な死

しかし、幸せな日々は長くは続きませんでした。

モリーの妹ミニーが病死し、さらに姉のアナが銃で頭を撃たれて殺害されているのが発見されます。

同じ時期に、オセージ族の男性チャーリー・ホワイトホーンも殺害されていました。

これまでも、オセージ族の人々は次々と不審な死を遂げていましたが、警察はまともに捜査をしようとしません。

先住民の命は軽視され、事件はうやむやにされてしまうのです。

モリーは私立探偵を雇いますが、探偵は何者かに脅され、何も成果を出さないまま町を去ってしまいます。

キングの恐るべき計画

実は、これらの殺人事件の黒幕は、アーネストの叔父であるキングでした。

キングは表向きはオセージ族の友人として振る舞いながら、裏では彼らの財産を奪うために次々と殺害計画を実行していたのです。

キングはアーネストを巧みに操り、モリーの家族を殺害させようとします。

アーネストは叔父に恩義を感じており、また自分自身も金に目がくらんでいたため、次第にキングの指示に従うようになっていきました。

キングの指示により、アーネストはモリーの妹リタとその夫ビル・スミスの殺害を手下に依頼します。

ある夜、リタとビルの家が爆破され、2人は一瞬にして命を奪われました。

この事件もまた、キングの影響力により警察は捜査を進めませんでした。

モリーへの毒殺計画

さらに恐ろしいことに、キングはモリー自身も殺害しようと計画します。

キングはアーネストに、モリーが糖尿病治療のために使っているインスリンに毒を混ぜるよう命じました。

アーネストは妻を愛していましたが、叔父の命令に逆らうことができず、葛藤しながらも毒入りのインスリンをモリーに注射し続けます。

モリーの体調は日に日に悪化していき、彼女は次第に衰弱していきました。

しかし、モリーは自分が毒を盛られていることに薄々気づいており、教会の神父に「命を狙われている」と告白していました。

モリーの決断とFBIの介入

次々と家族を失い、自身も死の淵に立たされたモリーは、ついに大きな決断を下します。

彼女は病身をおして単身ワシントンD.C.に向かい、クーリッジ大統領に直接、オセージ族連続殺人事件の捜査を直訴したのです。

この訴えにより、ついに連邦政府が動き、司法省捜査局（後のFBI）の捜査官トム・ホワイトが派遣されます。

ホワイトと彼のチームは、綿密な捜査を開始し、事件の協力者たちを次々と逮捕していきました。

捜査が進む中、キングは証拠隠滅のために手下たちを次々と始末していきます。

アーネストもついに逮捕され、長時間の尋問を受けることになりました。

アーネストの裏切りと裁判

当初は頑なに黙秘していたアーネストでしたが、捜査官たちの巧みな尋問と、娘の死という現実に直面し、ついに叔父キングの罪を証言することを決意します。

しかし、キングの弁護士たちがアーネストを説得し、彼は一度は証言を取り消そうとしました。

裁判の日、モリーはアーネストに「道を誤らないでね」と優しく語りかけます。

その言葉に心を動かされたアーネストは、再び証言台に立ち、キングの犯罪を暴露しました。

彼は涙を流しながら、叔父の命令で複数の殺人に関与したこと、そしてモリーへの愛が本物だったことを訴えます。

裁判の結果、キングは終身刑、アーネストも終身刑を言い渡されました。

ラスト：モリーとの最後の面会

裁判後、モリーはアーネストに最後の面会を求めます。

彼女は静かに彼に尋ねました。

「あなたが私に注射していたものは、本当にインスリンだったの？」

アーネストは目を泳がせ、汗をかき、しどろもどろになりながらも、最後まで真実を告げることができませんでした。

「インスリンだよ」と答える彼を見て、モリーは何も言わず、静かに部屋を去っていきました。

この無言の別れが、2人の関係の終わりを象徴しています。

エピローグ：その後の運命

映画のラストでは、ラジオドラマ形式で登場人物たちのその後が語られます。

キングは終身刑を宣告されたものの、政治家への献金などにより1947年に仮釈放され、アリゾナの介護施設で87歳の天寿を全うしました。

アーネストも後に恩赦を受けて釈放され、弟バイロンとトレーラーハウスで余生を過ごしました。

モリーはアーネストと離婚し、新しい夫ジョン・コブと再婚しましたが、1937年に糖尿病で50歳の若さで亡くなりました。

彼女の死亡記事には、一連の殺人事件についての言及は一切ありませんでした。

そして最後に、スコセッシ監督自身がオセージ族のコミュニティセンターで、モリーの墓碑銘を読み上げるシーンで映画は静かに幕を閉じます。

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は実話！オセージ族連続殺人事件とは

歴史に埋もれた恐るべき事件

映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は、1920年代にアメリカ・オクラホマ州で実際に起きた「オセージ族連続殺人事件」を基にしています。

この事件は、石油の発見により莫大な富を得たオセージ族の人々が、財産目当てに次々と殺害された凄惨な事件です。

公式に記録されているだけでも60人以上のオセージ族が殺害され、実際にはその数倍の犠牲者がいたとも言われています。

しかし、この事件は長い間、アメリカの歴史から意図的に隠蔽されてきました。

原作者のデヴィッド・グランは膨大な資料調査と現地取材を通じて、この忘れられた事件を白日の下に晒したのです。

FBIの誕生と事件の関係

この事件は、FBI（連邦捜査局）の歴史においても重要な意味を持っています。

当時、地元警察はオセージ族の事件をまともに捜査せず、腐敗と人種差別が蔓延していました。

そこで司法省捜査局（後のFBI）が初めて大規模な殺人事件の捜査に乗り出し、科学的捜査手法を駆使して犯人を追い詰めました。

この成功により、FBIは全国的な組織として認知されるようになり、現在のFBIの礎が築かれたのです。

後見人制度という名の搾取

映画でも描かれている「後見人制度」は、オセージ族に対する制度的な差別の象徴でした。

1920年代、オセージ族は石油の鉱業権から莫大な収入を得ていましたが、連邦政府は「先住民には財産管理能力がない」として、白人の後見人を強制的に任命しました。

後見人の許可がなければ、オセージ族は自分の財産を自由に使うことができず、多くの後見人が不正に財産を横領していました。

この制度は1970年代まで存在し、アメリカの先住民政策の暗部を象徴しています。

視聴後の感想：心に残る重厚な人間ドラマ

3時間26分を感じさせない圧倒的な映像体験

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は上映時間が3時間26分という長尺作品ですが、一瞬たりとも退屈させない構成になっています。

スコセッシ監督の円熟した演出力により、重厚なストーリーがゆったりとしたテンポで語られ、観客を1920年代のオクラホマに完全に引き込みます。

特に、広大な大地を俯瞰で捉えたオープニングシーンや、石油が噴き出す瞬間の圧倒的な映像美は、映画館の大スクリーンで観る価値がありますよ。

撮影監督ロドリゴ・プリエトの自然光を生かした撮影技法が、作品に独特の質感とリアリティを与えています。

ディカプリオが演じる「凡庸な悪」の恐ろしさ

本作でディカプリオが演じるアーネスト・バークハートは、彼のキャリアの中でも異色の役柄です。

アーネストは決して悪魔のような悪人ではなく、むしろどこにでもいる平凡な男性として描かれています。

彼は妻と子どもを愛していましたが、叔父への恩義と金への欲望、そして自分で考えることを放棄した「思考停止」により、次々と犯罪に手を染めていきました。

この「凡庸な悪」というテーマは、ハンナ・アーレントが提唱した概念であり、本作の最も恐ろしい部分です。

私たちの身の回りにも、命令に従うだけで非道な行為に加担してしまう人間がいるかもしれない、そんな普遍的な恐怖を突きつけられますよ。

リリー・グラッドストーンの静かな力強さ

本作で最も称賛されるべきは、モリー・カイル役のリリー・グラッドストーンの演技でしょう。

彼女は多くを語らず、表情と目の演技だけで、モリーの内面の苦悩、家族への愛、そして夫への複雑な感情を見事に表現しています。

特にラストシーンで、アーネストに質問し、彼の答えを聞いた後、無言で去っていく場面は、言葉以上の重みを持っています。

彼女の静謐な演技が、作品全体に深い余韻を残していますよ。

ロバート・デ・ニーロの貫禄ある悪役

ロバート・デ・ニーロが演じるウィリアム・ヘイル（キング）は、表向きは温厚で慈善的な紳士ですが、その裏では冷酷非情な殺人の首謀者という二面性を持つ人物です。

デ・ニーロは表情やシワの陰影だけで、この二面性を完璧に演じ分けています。

特に、アーネストを鞭で打つシーンでは、普段の優しい叔父の顔から一変し、恐ろしい本性が露わになります。

ベテラン俳優ならではの貫禄と演技力が光る、圧巻のパフォーマンスですよ。

オセージ族の文化と尊厳を描く

本作のもう一つの重要な側面は、オセージ族の文化や習慣を丁寧に描いている点です。

スコセッシ監督は脚本を書く際に、オセージ族のコミュニティと密接に協力し、彼らの意見を取り入れました。

映画では、オセージ族の言語、儀式、音楽、衣装などが本物の考証に基づいて再現されており、彼らの文化的な豊かさと尊厳が表現されています。

雨が降っても扉を閉めず、雨の音に耳を澄ませるシーンや、太陽や月などの生命の力「ワカンダ」への信仰など、彼らの自然観や思想が詩情豊かに描かれていますよ。

これにより、単なる犯罪映画ではなく、失われた文化と人々への追悼の作品となっています。

映画のラストシーン・結末に込められた意味

モリーとの最後の面会シーンが持つ重み

映画のクライマックスは、裁判後のモリーとアーネストの面会シーンです。

モリーは「あなたが私に注射していたものは何だったの？」と静かに尋ねます。

アーネストは汗をかき、目を泳がせながらも「インスリンだよ」と答えました。

この嘘が、彼が最後まで自分の弱さと罪を認めることができなかったことを象徴しています。

モリーは何も言わず、静かに部屋を去っていきます。

この無言の別れが、言葉以上の重みを持って観客の心に残りますよ。

ラジオドラマ形式のエピローグ

映画の最後は、1950年代のラジオドラマ「実録犯罪シアター」の収録現場という形式で、登場人物たちのその後が語られます。

この演出は、メタ的な視点から事件を振り返り、歴史がどのように語り継がれるかを問いかけています。

そして最後に、スコセッシ監督自身がオセージ族のコミュニティセンターで、モリーの墓碑銘を読み上げます。

この演出により、映画は単なるエンターテインメントではなく、歴史の証言者としての役割を果たしているのです。

贖罪ではなく「思考停止」への警鐘

本作は単純な「贖罪の物語」ではありません。

アーネストは裁判で涙ながらに後悔を述べますが、最後の面会シーンで嘘をつくことで、彼が真の意味で罪と向き合っていないことが明らかになります。

スコセッシ監督が描きたかったのは、「思考を停止し、命令に従うだけで悪に加担してしまう人間」の恐ろしさです。

これは現代社会にも通じる普遍的なテーマであり、私たち観客に対する警鐘として響きますよ。

タイトル『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』の意味とは

フラワームーンとは何か

「フラワームーン」とは、アメリカ先住民が伝統的に5月の満月を呼ぶ名称です。

春もたけなわ、様々な花が咲き誇る5月の満月を、先住民たちは「花の月」と名付けました。

この美しい名称には、自然への敬愛と生命の循環への感謝が込められています。

「花殺し月」が象徴するもの

タイトル『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は直訳すると「花の月の殺人者たち」となります。

つまり、5月の花に例えられた先住民オセージ族の生命を摘み取る殺人者たちの物語という意味です。

美しい花のように咲き誇っていたオセージ族の人々が、次々と殺害されていく様子を、詩的かつ痛切に表現したタイトルなんですよ。

このタイトルには、失われた生命への追悼と、加害者への告発という二つの意味が込められています。

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』配信情報・視聴方法

Apple TV+で独占配信中

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は、2024年1月12日よりApple TV+で独占配信が開始されました。

劇場公開時に観逃してしまった方も、自宅で3時間26分の大作をじっくりと鑑賞できますよ。

Apple TV+は月額900円（税込）で利用でき、初回登録時には7日間の無料トライアル期間があります。

本作のような重厚な作品は、自宅でゆっくりと、必要であれば途中で休憩を挟みながら観るのもおすすめです。

4K HDRの高画質で楽しめる

Apple TV+では、本作を4K HDR（ハイダイナミックレンジ）の高画質で視聴することができます。

ロドリゴ・プリエトの美しい撮影と、1920年代の衣装や美術を細部まで堪能できますよ。

大画面テレビとサウンドシステムがあれば、劇場に近い臨場感で作品を楽しむことができます。

よくある質問（FAQ）

この映画は本当に実話なのですか？

はい、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は1920年代に実際に起きたオセージ族連続殺人事件を基にしています。

ただし、映画は原作ノンフィクションを基にしながらも、脚色や構成の変更が加えられています。

特に、原作ではFBI捜査官トム・ホワイトが主人公として描かれていますが、映画ではアーネストとモリーの関係を中心に据えた構成になっています。

登場人物の名前や事件の詳細は史実に基づいていますが、会話や細かい描写は創作されたものですよ。

3時間26分という長さは退屈ではありませんか？

確かに3時間26分という上映時間は長いですが、スコセッシ監督の円熟した演出により、時間を忘れさせてくれる作品です。

ゆったりとしたテンポで物語が進行し、登場人物たちの心情や時代背景が丁寧に描かれています。

長尺だからこそ、オセージ族の文化や人物たちの関係性を深く理解することができますよ。

ただし、アクション満載のエンターテインメント作品を期待している方には向いていないかもしれません。

静かな人間ドラマと歴史劇を楽しみたい方には、この長さが作品の魅力となっています。

子どもと一緒に観ても大丈夫ですか？

本作はPG12指定（12歳未満の方は保護者の助言・指導が必要）となっています。

作品には殺人シーン、死体の描写、暴力表現が含まれており、また人種差別や搾取といった重いテーマを扱っています。

小さなお子様には内容が難しく、また精神的にショッキングな場面もあるため、鑑賞は慎重に判断することをおすすめします。

中学生以上で、歴史や社会問題に関心がある方であれば、教育的な意味でも価値のある作品ですよ。

原作本も読むべきですか？

原作『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』は、事件の詳細や歴史的背景をより深く知りたい方には非常におすすめです。

映画では描かれなかった捜査の詳細や、他の被害者たちのエピソードも収録されています。

原作はミステリー小説のような構成で、FBI捜査官トム・ホワイトの視点から事件が語られており、映画とは異なる魅力があります。

映画を観て興味を持った方は、ぜひ原作も手に取ってみてくださいね。

アカデミー賞は受賞しましたか？

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は、第96回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演女優賞（リリー・グラッドストーン）、助演男優賞（ロバート・デ・ニーロ）を含む10部門にノミネートされました。

しかし残念ながら、受賞には至りませんでした。

ただし、ゴールデングローブ賞ではリリー・グラッドストーンが最優秀主演女優賞（ドラマ部門）を受賞しており、作品の芸術性は高く評価されています。

また、数多くの映画批評家団体から年間ベスト作品に選出されており、評価は非常に高い作品ですよ。

スコセッシ監督の他の作品と比べてどうですか？

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は、スコセッシ監督の円熟期の傑作と言えます。

初期の『タクシードライバー』や『レイジング・ブル』のような荒々しさはなく、『沈黙-サイレンス-』や『アイリッシュマン』のような静謐で内省的な作風です。

特に『グッドフェローズ』や『カジノ』で描いた「組織犯罪とアメリカ社会」というテーマが、本作では「人種差別と先住民迫害」という形で深化しています。

スコセッシファンはもちろん、彼の作品を初めて観る方にもおすすめできる、アクセスしやすい傑作ですよ。

まとめ：観るべき理由と心に残るメッセージ

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は、単なる歴史犯罪映画ではありません。

1920年代のアメリカで実際に起きた先住民オセージ族への連続殺人事件を通じて、人種差別、植民地主義、そして「凡庸な悪」という普遍的なテーマを描いた傑作なんですよ。

マーティン・スコセッシ監督の円熟した演出、レオナルド・ディカプリオとリリー・グラッドストーンの心を揺さぶる演技、そして美しくも残酷な映像が、3時間26分を一瞬のように感じさせてくれます。

本作を観ることで、私たちは歴史に埋もれた真実を知り、思考停止の恐ろしさを学び、そして失われた文化と人々への敬意を新たにすることができます。

長い上映時間を躊躇している方もいるかもしれませんが、この作品は時間をかけて観る価値がある重厚な人間ドラマですよ。

Apple TV+で配信されているので、自宅でゆっくりと、心を落ち着けて鑑賞してみてください。

観終わった後、あなたの心には深い余韻と、歴史と向き合う勇気が残るはずです。

ぜひ、この傑作を体験してくださいね。