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ネバーエンディング・ストーリーのあらすじと感想!涙なしには観られない名シーン解説

『ネバーエンディング・ストーリー』とは?80年代を代表する不朽のファンタジー映画

1984年に公開された『ネバーエンディング・ストーリー』は、ドイツの作家ミヒャエル・エンデの児童文学「はてしない物語」を映画化した作品です。

監督はウォルフガング・ペーターゼン。本を読む少年バスチアンが、物語の世界「ファンタージェン」に入り込み、想像力の力で世界を救うという壮大なファンタジー作品ですよ。

公開から40年近く経った今でも、多くの人々の心に残り続ける名作として語り継がれています。あの印象的なテーマ曲を聴けば、誰もがこの映画を思い出すのではないでしょうか。

CGがなかった時代に、特殊メイクや人形劇などアナログ技術を駆使して作り上げられた幻想的な世界観は、今観ても色褪せない魅力に溢れています。

『ネバーエンディング・ストーリー』の詳細あらすじ【起承転結・ネタバレあり】

ここからは映画の結末まで、詳細なあらすじをネタバレありで解説していきます。まだ映画をご覧になっていない方はご注意くださいね。

【起】母を亡くした少年と不思議な本との出会い

主人公のバスチアン・バックスは、最近母親を亡くしたばかりの10歳の少年です。

父親との二人暮らしで、心に深い悲しみを抱えながら日々を過ごしています。学校ではいじめっ子たちに目をつけられ、登校中にゴミ箱に詰め込まれるという屈辱的な扱いを受けてしまうんです。

ある日、いじめっ子たちから逃れるために飛び込んだ古本屋で、バスチアンは店主が読んでいた一冊の本に目を奪われます。

「ネバーエンディング・ストーリー(果てしない物語)」と題されたその本は、表紙に不思議な紋章「アウリン」が描かれていました。

本が大好きなバスチアンは、店主が電話をしている隙に、「必ずお返しします」というメモを残してその本を持ち去ってしまいます。そう、実質的には万引きですね。

学校に着いたバスチアンは、算数のテストをサボって誰も来ない屋根裏の用具室に隠れます。そして埃だらけの毛布にくるまりながら、その魔法のような本を開き始めるのです。

ページをめくった瞬間、バスチアンは物語の世界へと引き込まれていきました。

【承】ファンタージェンを襲う「無」の脅威とアトレーユの旅立ち

本の中の世界「ファンタージェン」では、深刻な危機が訪れていました。

「無」と呼ばれる得体の知れない存在が、この世界のすべてを飲み込もうとしているのです。美しい湖も、おいしい岩も、楽しい思い出も、何もかもが跡形もなく消えてしまう恐怖に、住人たちは怯えていました。

北の地に住むロック・バイター、西に暮らす小男、南に住むチビ鬼—みんなが象牙の塔で暮らす女王様に助けを求めてやってきます。

しかし女王様自身も原因不明の重い病に冒されており、命が危ない状態でした。女王様の代理人は、この危機を救えるのはただ一人、草原族の若き勇者アトレーユだけだと告げるんです。

アトレーユはまだ少年でしたが、女王様を救う薬を探し、ファンタージェンを救うという重大な使命を引き受けます。代理人は彼の首に「アウリン」という蛇が二匹連なったネックレスをかけてくれました。これは女王様の代理の証です。

愛馬アルタクスにまたがり、アトレーユは旅立ちます。しかし具体的な目的地も示されず、ただ「女王様を治す薬を見つけろ」という漠然とした使命だけを与えられた旅は、あまりにも過酷でした。

一週間走り続けても何の手がかりも得られません。その間、暗闇では「無」の召使いである怪物グモルクが、アトレーユの命を狙って忍び寄っていたのです。

最後の望みをかけて、アトレーユは何でも知っているという生きた化石・モーラを探すことにします。モーラが暮らすのは「悲しみの沼」のどこか。

アルタクスを引いて沼地を進むアトレーユですが、途中で愛馬が悲しみにとりつかれて動けなくなってしまいます。

「アルタクス、頑張って!諦めるな!」アトレーユは必死で励ましますが、アルタクスはゆっくりと沼に沈んでいってしまうんです。

本を読んでいたバスチアンは、このシーンで号泣してしまいます。「やめてくれ!アルタクス!」涙と鼻水でぐしゃぐしゃになりながら、まるで自分がその場にいるかのように物語に没入していました。

アルタクスを失い、絶望的な状況でしたが、アトレーユは諦めずに前に進みます。そしてついに巨大な亀のような姿をしたモーラを発見するのです。

何千年も生きてきたモーラは若さアレルギーで、アトレーユが近くにいるとくしゃみが止まりません。モーラはファンタージェンの危機については知っていましたが、解決方法までは分からず、「南のお告げ所へ行け」とだけ教えてくれました。

しかし南のお告げ所は1万マイルも先。途方に暮れるアトレーユに、突然空から白い竜が降りてきます。幸運の竜・ファルコンです。

ファルコンは気を失っていたアトレーユを背に乗せ、9891マイルも飛んでくれました。目覚めたアトレーユの目の前には、まさに南のお告げ所がそびえ立っていたのです。

【転】スフィンクスの門と魔法の鏡が示す真実

南のお告げ所の近くには小人の老夫婦が住んでおり、おじいさんが観測所から門を見せてくれます。

門の番人は二体の巨大なスフィンクス。門を通過しようとする者が少しでも恐怖を感じると、目から光線を放って焼き殺してしまうという恐ろしい存在です。

それでもアトレーユは勇気を振り絞り、門に向かって走り出します。一瞬怖気づきかけますが、間一髪のところで門を通過することに成功しました。

次に待ち受けていたのは「魔法の鏡の門」です。この鏡は、通過しようとする者の真実の姿を映し出します。

アトレーユが覗き込んだ鏡には—なんと、本を読んでいるバスチアンの姿が映っていたのです!

驚いたバスチアンは思わず本を投げ捨ててしまいます。「どうして僕が…?」物語の世界と現実の境界が曖昧になっていく不思議な感覚に、バスチアンは戸惑いを隠せませんでした。

鏡の門を抜けたアトレーユは、ついに南のお告げ所に到着します。そこにいた二体のスフィンクスが真実を告げました。

「ファンタージェンを救うには、人間の子供が女王様に新しい名前をつけてあげればいい」

なんと、解決方法はそんなにシンプルなことだったのです。アトレーユは人間の子供を探すため、ファルコンに乗ってファンタージェンの果てを目指します。

「僕に頼めばいいのに…」バスチアンは思わず独り言を呟きました。

しかし旅の途中、アトレーユは「無」に巻き込まれ、ファルコンから落ちてしまいます。気づくと砂浜に倒れていて、大切なアウリンを失くしてしまっていました。

荒涼とした場所には、かつて出会ったロック・バイターがいました。彼は「無」から仲間を救えなかったことを深く悔やんでいます。「無」の力はますます強まり、世界が完全に消滅するのも時間の問題でした。

さまよい歩くアトレーユは、自分の冒険が描かれた壁画のある場所を発見します。そこにはグモルクが待ち構えていました。

グモルクはアトレーユに、ファンタージェンと「無」の秘密を教えてくれます。

「ファンタージェンは人間の夢や希望で作られた世界だ。そしてそれを消し去る『無』は、人間の虚しさや絶望から生まれる」

つまり、人間が夢を失えば失うほど、「無」の力は強くなるのです。グモルクはその「無」の召使いとして、世界を救おうとするアトレーユを殺そうとしていました。

「俺がアトレーユだ!」名乗りを上げたアトレーユに、グモルクが飛びかかります。激しい戦いの末、アトレーユは尖った石でグモルクの心臓を突き、怪物を倒すことに成功しました。

一方、海底でアウリンを見つけたファルコンは、「無」に飲み込まれそうになっていたアトレーユを救い出します。

しかし時すでに遅し—ファンタージェンは完全に崩壊し、バラバラの破片となって暗闇に消えていってしまったのです。

【結】バスチアンが叫んだ新しい名前とファンタージェンの再生

すべてが失われたかに見えた暗闇の中、アトレーユがアウリンに「象牙の塔へ導いて」と願うと、塔が現れます。

中には女王様が待っていました。「なぜ悲しい顔をしているの?」と優しく問いかける女王様に、アトレーユは自分が失敗したと思い込んでいました。

しかし女王様は微笑みながら言います。「人間の子供はもうここに来ているわ」

実は女王様はすべてを知っていたのです。人間の子供を物語の世界へ引き寄せるために、最初からアトレーユに苦労の多い冒険をさせていたんですね。

そして人間の子供とは—まさにバスチアンのことでした。

「バスチアン、私に新しい名前をつけて」女王様は直接バスチアンに呼びかけます。

バスチアンは混乱します。「僕は地上にいたい…」現実と物語の境界を越えることへの恐怖がありました。

しかし涙を流す女王様を見て、バスチアンは決心します。窓を開け放ち、激しい雨風の中、全力で新しい名前を叫びました。

「ムーンチャイルド!」

次の瞬間、バスチアンは暗闇の中で女王様と対面していました。女王様はファンタージェンの最後の一粒をバスチアンに握らせます。

「好きなだけ願い事をして。願い事が多ければ多いほど、素敵なファンタージェンができるわ」

バスチアンの目が輝きました。想像力の翼が広がっていきます。

気づくとバスチアンは、白くてふわふわの幸運の竜・ファルコンの背中に乗っていました。眼下には新しく生まれ変わったファンタージェンが広がっています。

ロック・バイターとその仲間たちが楽しそうに笑い、アルタクスに乗ったアトレーユも元気に手を振っています。みんなが生き返ったのです!

「次の願い事は何?」ファルコンが尋ねると、バスチアンは少しいたずらっぽく微笑みました。ファルコンは大笑いしながら、地上へと降りていきます。

地上ではあのいじめっ子たちが道を歩いていました。突然、巨大な白い竜が空から現れ、彼らを追いかけ始めます!

「うわああああ!」いじめっ子たちは慌ててゴミ箱の中に逃げ込みました。今度はバスチアンが彼らをゴミ箱に閉じ込める番です。

ファルコンに乗って空を飛ぶバスチアンの顔には、自信に満ちた笑顔がありました。母を失った悲しみに沈み、いじめに耐えていた弱々しい少年は、もういません。

バスチアンは物語の世界で冒険を共にすることで、困難に立ち向かう勇気と、自分を信じる力を取り戻したのです。

そして—バスチアンに夢や希望がある限り、この果てしない物語は永遠に続いていくのです。

『ネバーエンディング・ストーリー』の登場人物紹介

バスチアン・バックス(演:バレット・オリヴァー)

本作の主人公。10歳の少年で、最近母親を亡くしたばかりです。

学校ではいじめられっ子で、内向的な性格。本を読むことが大好きで、186冊もの本を所有しているほどの読書家なんです。

母を失った悲しみから本の世界に逃避していましたが、「ネバーエンディング・ストーリー」を読み進めるうちに、物語の重要なキーパーソンとして世界を救う役割を担うことになります。

物語を通じて、現実から逃げることをやめ、自分自身と向き合う強さを手に入れていきますよ。

アトレーユ(演:ノア・ハサウェイ)

ファンタージェンに住む草原族の若き戦士。まだ子供ですが、狩りの腕前は一流で、勇敢な心の持ち主です。

女王様の命を受けて、ファンタージェンを救うための冒険に旅立ちます。愛馬アルタクスとともに数々の試練を乗り越え、真実を求めて旅を続ける姿は、まさにヒーローそのものですね。

バスチアンの分身のような存在でもあり、彼が困難に立ち向かう姿を見ることで、バスチアン自身も勇気を得ていきます。

演じたノア・ハサウェイの美しい容姿も印象的で、多くのファンの記憶に残る名演技を見せてくれました。

幼心の君/女王様(演:タミー・ストロナッハ)

ファンタージェンを統べる幼い女王。象牙の塔に住んでいます。

「無」の影響で原因不明の病に冒されており、新しい名前を人間の子供からもらうことでしか救われません。

実はすべてを知っており、バスチアンを物語の世界に引き込むために、アトレーユに困難な冒険をさせていたという計画的な一面も。

純白のドレスに身を包んだ神秘的な美しさは、今でも多くの人の心に焼きついています。

ファルコン(声:アラン・オッペンハイマー)

幸運の竜と呼ばれる白くて長い胴体を持つドラゴン。愛嬌のある顔立ちで、犬のようにも見える親しみやすいデザインが特徴的です。

沼に沈みかけていたアトレーユを救い、その後は頼れる相棒として冒険を共にします。空を自由に飛び回る姿は、まさに幸運をもたらす存在ですね。

最後にはバスチアンを背中に乗せて、現実世界でも大活躍してくれます。

グモルク(声:アラン・オッペンハイマー)

「無」の召使いとして、アトレーユの命を狙う邪悪な怪物。狼のような姿をしており、その存在感は恐怖そのものです。

しかし単なる悪役ではなく、ファンタージェンと「無」の本質についてアトレーユに真実を語る重要な役割も担っています。

人間の絶望が「無」を生み出すという核心的なメッセージを伝えてくれる存在でもあるんです。

ロック・バイター

岩を食べる巨人。岩でできた体を持ち、ゆっくりとした動作で話す優しい性格の持ち主です。

「無」によって故郷を失い、仲間を救えなかったことを深く悲しんでいます。彼の悲痛な表情は、「無」の脅威がどれほど深刻かを物語っていますね。

印象的なビジュアルで、多くの観客の記憶に残るキャラクターの一人です。

『ネバーエンディング・ストーリー』の見どころ・名シーン

アルタクスが悲しみの沼に沈むシーン

この映画で最も心を揺さぶられるシーンの一つが、アトレーユの愛馬アルタクスが沼に沈んでいくシーンです。

「諦めるな!頑張れアルタクス!」必死で励ますアトレーユの声も虚しく、アルタクスは悲しみにとりつかれ、ゆっくりと沼に飲み込まれていきます。

このシーンでは本を読んでいるバスチアンも号泣してしまうんですが、映画を観ている私たちも同じように涙してしまいますよね。

子供の頃にこのシーンを観てトラウマになったという方も多いのではないでしょうか。それだけ印象深く、感情に訴えかける名シーンなんです。

ファルコンと空を飛ぶシーン

白くてふわふわの幸運の竜・ファルコンの背中に乗って空を飛ぶシーンは、まさにファンタジー映画の醍醐味ですよね。

あの有名なテーマ曲が流れる中、雲の上を自由に飛び回る映像は、観る者すべてに「自分も空を飛んでみたい!」という夢を抱かせてくれます。

CGのなかった時代に、どうやってあの浮遊感を表現したのか。技術的な面でも非常に興味深いシーンです。

最後にバスチアンがファルコンに乗って現実世界の空を飛ぶシーンは、物語と現実の境界を越える象徴的な場面でもあります。

スフィンクスの門を通過するシーン

南のお告げ所への入り口を守る巨大なスフィンクス。少しでも恐怖を感じると目から光線を放って焼き殺すという恐ろしい試練です。

アトレーユが一瞬怖気づきかけながらも、全速力で駆け抜けるシーンは手に汗握る緊張感がありますよね。

この試練は、恐怖を克服することの大切さを象徴的に描いています。

魔法の鏡に映るバスチアンの姿

アトレーユが魔法の鏡を覗き込むと、そこに映っていたのは本を読んでいるバスチアンの姿でした。

この瞬間、物語の世界と現実世界の境界が曖昧になり、バスチアンが単なる読者ではなく物語の重要な登場人物であることが明らかになります。

驚いて本を投げ捨てるバスチアンの反応が、観客の驚きとも重なる素晴らしい演出ですね。

「ムーンチャイルド!」と叫ぶクライマックス

女王様に直接呼びかけられたバスチアンが、嵐の中、窓を開け放って全力で名前を叫ぶシーン。

「ムーンチャイルド!」

この瞬間、バスチアンは自分の想像力の力を信じ、現実から逃避することをやめて、物語の世界に参加する決意を固めます。

風雨に打たれながら必死で叫ぶ姿は、彼の内面的な成長を見事に表現していますよ。

『ネバーエンディング・ストーリー』のテーマとメッセージ

想像力と夢の大切さ

この映画が最も伝えたいメッセージは、想像力と夢を持ち続けることの大切さです。

ファンタージェンは人間の夢や希望で作られた世界であり、「無」は人間の虚しさや絶望から生まれます。つまり、人々が夢を失い、想像することをやめてしまえば、ファンタジーの世界は消えてしまうんです。

現代社会では、大人になるにつれて現実的になり、想像力を失っていく人が多いのではないでしょうか。

この映画は「想像することの素晴らしさを忘れないで」というメッセージを、美しい映像とともに伝えてくれています。

悲しみを乗り越える勇気

バスチアンは母親を亡くした深い悲しみから、本の世界に逃避していました。

しかし物語を通じて、アトレーユが困難に立ち向かう姿を見ることで、自分自身も現実と向き合う勇気を得ていきます。

悲しみから逃げるのではなく、それを受け入れながら前に進むこと。バスチアンの成長は、喪失を経験したすべての人への励ましのメッセージでもあるんですね。

物語と読者の関係性

この映画の画期的な点は、物語の中のキャラクターが読者の存在を認識し、読者自身が物語の重要な登場人物になるという多層構造にあります。

バスチアンがアトレーユの冒険を体験しているように、映画を観ている私たちもバスチアンの物語を共に体験しています。

「物語は読者がいて初めて完成する」という文学的なテーマを、ファンタジー映画の形で見事に表現していますよ。

名前が持つ力

女王様に新しい名前をつけることで世界が救われるというストーリー展開は、名前が持つ特別な力を象徴しています。

名前は単なる記号ではなく、その存在に意味と希望を与えるもの。バスチアンが叫んだ「ムーンチャイルド」という名前は、夢と想像力を持ち続ける子供を意味しているとも解釈できます。

千と千尋の神隠しでも描かれたように、名前は自己のアイデンティティそのもの。それを取り戻すことが世界を救う鍵になるというのは、深いメッセージですね。

『ネバーエンディング・ストーリー』を観た感想とレビュー

80年代ファンタジー映画の最高傑作

CGが存在しなかった1984年という時代に、これほど幻想的で美しい世界を作り上げたことに、まず驚嘆せずにはいられません。

特殊メイク、人形劇、アニマトロニクスなど、職人たちの手作業による技術の結晶が、今観ても色褪せない魅力を放っていますよ。

ロック・バイターの岩肌の質感、ファルコンのふわふわとした毛並み、グモルクの不気味な動き—すべてがアナログならではの温かみと存在感を持っています。

現代のCG映画にはない、手触りのある質感がこの映画の大きな魅力ですね。

子供の頃と大人になってからで違う感動

子供の頃に観たときは、ファンタジックな冒険とファルコンに乗って空を飛ぶシーンに心を躍らせました。

しかし大人になって改めて観ると、バスチアンが母を失った悲しみを抱えていたこと、想像力を失うことの恐ろしさ、物語と現実の関係性など、深いテーマ性に気づかされます。

特に「人間が夢を失えば、ファンタジーの世界は消える」というメッセージは、大人になって忙しい日常に追われている今だからこそ、より深く心に響くのではないでしょうか。

年齢を重ねるごとに新しい発見がある、何度観ても楽しめる名作です。

音楽の力が物語を引き立てる

リマール(Limahl)が歌う主題歌「ネバーエンディング・ストーリーのテーマ」は、この映画を語る上で欠かせない要素ですよね。

あの壮大でキャッチーなメロディーは、一度聴いたら忘れられません。Netflix「ストレンジャー・シングス」で効果的に使用されたことで、若い世代にもこの名曲の素晴らしさが再認識されました。

音楽が映像と完璧にシンクロして、物語の世界観をより豊かにしてくれていますよ。

トラウマシーンとしても有名

アルタクスが沼に沈んでいくシーンは、子供の頃に観てトラウマになった人が続出したことでも有名です。

愛馬を失うアトレーユの悲痛な叫びと、諦めて沈んでいくアルタクスの姿は、あまりにも残酷で心に深く刻まれます。

しかし、このシーンがあるからこそ、物語に深みが生まれ、最後にアルタクスが復活したときの喜びも大きくなるんですね。

子供向けファンタジーでありながら、決して甘やかさない、現実の厳しさも描く姿勢が、この映画を単なる娯楽作品以上のものにしています。

家族で観てほしい永遠の名作

『ネバーエンディング・ストーリー』は、世代を超えて楽しめる作品です。

子供は冒険とファンタジーの世界に夢中になり、大人は deeper なテーマ性に気づかされる。親子で一緒に観て、それぞれが感じたことを語り合うのも素敵な体験になるはずですよ。

ただし、小さなお子さんは怖いシーンもあるので、保護者の方が一緒に観てあげることをおすすめします。

40年近く経った今でも色褪せない、まさに「果てしない物語」として愛され続ける理由がここにあります。

『ネバーエンディング・ストーリー』のよくある疑問Q&A

Q1:「ムーンチャイルド」ってどういう意味?

映画の中では詳しく説明されませんが、原作では詳細な解釈が書かれています。

「ムーンチャイルド(Moon Child)」は、夢や想像力を持ち続ける子供を意味していると考えられています。バスチアン自身がムーンチャイルドであり、その名前を女王様に贈ることで、想像力の力を女王様と共有し、ファンタージェンを再生させたんですね。

月は夢や幻想の象徴でもあり、その子供という意味には、現実に縛られない自由な想像力を持つ存在というニュアンスが込められていますよ。

Q2:原作と映画はどう違うの?

ミヒャエル・エンデの原作小説「はてしない物語」は非常に長大で、映画は原作の前半部分を中心に映像化しています。

原作者エンデは映画の改変に不満を持ち、製作会社を相手に訴訟を起こしたことでも有名です。原作ではバスチアンがファンタージェンに入った後の長い冒険が描かれており、映画とは大きく異なる展開になっています。

映画は子供向けのファンタジー冒険活劇として分かりやすく再構成されていますが、原作はより哲学的で深いテーマを扱った文学作品なんですね。

両方を楽しんで、その違いを味わうのもおすすめです。

Q3:「無」って結局何だったの?

「無」はファンタージェンのすべてを飲み込む正体不明の存在として描かれていますが、グモルクが語ったように、その本質は「人間の絶望や虚しさ」です。

人間が夢を失い、想像することをやめると、「無」の力が強まってファンタジーの世界が消えていく。つまり「無」とは、希望の喪失そのものを象徴していると言えるでしょう。

抽象的な概念を視覚化した点が、この映画の優れたところですね。子供には少し難しいかもしれませんが、大人になって観返すとその意味の深さに気づかされます。

Q4:続編はあるの?

はい、『ネバーエンディング・ストーリー2』(1990年)と『ネバーエンディング・ストーリー3』(1994年)が製作されています。

ただし、どちらもオリジナルの監督やキャストは参加しておらず、評価は第1作に比べてかなり低めです。特に3作目はビデオ映画として製作されました。

やはり最初の作品が持つ魔法のような魅力は、続編では再現できなかったようですね。『ネバーエンディング・ストーリー』を楽しむなら、まずはオリジナルの第1作をじっくり観ることをおすすめします。

Q5:どこで観られる?配信はしてる?

『ネバーエンディング・ストーリー』は各種動画配信サービスで視聴可能です。

Amazon Prime Video、U-NEXT、Netflix、Huluなど主要な配信サービスで取り扱いがある場合がありますが、配信状況は時期によって変わるので、各サービスで検索してみてくださいね。

DVD・Blu-rayも販売されているので、手元に置いておきたい方は購入するのもおすすめです。何度観ても新しい発見がある作品なので、所有する価値は十分にありますよ。

『ネバーエンディング・ストーリー』と一緒に観たい類似作品

『ダーククリスタル』

1982年製作のジム・ヘンソンによるファンタジー映画。『ネバーエンディング・ストーリー』と同じく、CGを使わずパペットや特殊効果で異世界を表現した作品です。

唯一無二の世界観とダークな雰囲気が魅力的で、少年が世界を救う使命を担うという点も共通していますよ。

『ラビリンス 魔王の迷宮』

デヴィッド・ボウイが魔王役を演じた1986年のファンタジー映画。少女が弟を取り戻すために不思議な迷宮を冒険する物語です。

幻想的な世界観、子供の成長物語という点で『ネバーエンディング・ストーリー』と共通する魅力がありますね。

『ナルニア国物語』シリーズ

現実世界から異世界へ入り込み、そこで冒険を繰り広げるという構造が似ています。

こちらは現代のCGを駆使した映像美が楽しめるので、『ネバーエンディング・ストーリー』の現代版とも言えるでしょう。

『ブリッジ・トゥ・テラビシア』

子供たちが想像力で作り上げた秘密の王国を舞台にした感動作。現実と空想が交錯する構造や、喪失と成長のテーマが共通しています。

涙なしには観られない名作ですよ。

『千と千尋の神隠し』

日本が誇るファンタジーアニメの傑作。少女が異世界に迷い込み、成長していく物語という点で共通する要素があります。

名前の力というテーマも『ネバーエンディング・ストーリー』と通じるところがありますね。

まとめ:想像力という魔法を信じ続けよう

『ネバーエンディング・ストーリー』は、単なる子供向けファンタジー映画ではありません。

想像力の大切さ、悲しみを乗り越える勇気、物語が持つ力—私たちが生きていく上で忘れてはいけない大切なメッセージが、美しい映像とともに詰め込まれた珠玉の作品なんです。

80年代という時代に、CGを使わずに職人技で作り上げられた幻想世界は、今観ても全く色褪せることなく、むしろアナログならではの温かみと存在感を放っています。

大人になると、現実的にならざるを得ない場面が増えていきます。でも、だからこそ時々は想像力の翼を広げて、夢を見ることを忘れないでほしい。

この映画はそんな大切なことを、優しく、でも力強く教えてくれますよ。

まだ観たことがない方は、ぜひ一度この「果てしない物語」の世界に飛び込んでみてください。すでに観たことがある方も、人生の節目節目で観返してみると、新しい発見があるはずです。

バスチアンとアトレーユが教えてくれた勇気と希望を胸に、私たちも自分自身の物語を紡いでいきましょう。

あなたの中にある想像力という魔法を、決して失わないでくださいね。