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映画『ナイトクローラー』あらすじと感想を徹底解説!ジェイク・ギレンホールの狂気が光る傑作

夜のロサンゼルスを舞台に、報道パパラッチの狂気を描いたサスペンス映画『ナイトクローラー』。

主演のジェイク・ギレンホールが鬼気迫る演技で魅せるこの作品は、観る者を不安と恐怖に陥れながらも目が離せない魅力があります。

本記事では、『ナイトクローラー』のあらすじをネタバレありで詳しく解説し、実際に観た人の感想や評価、そして視聴方法までをまとめてご紹介します。

刺激的な映像を求めて夜の街を駆け巡る男の物語を、じっくり掘り下げていきましょう。

映画『ナイトクローラー』とは?

『ナイトクローラー』は2014年にアメリカで公開されたサスペンス映画です。

原題は「Nightcrawler」で、報道専門のパパラッチ、つまり事件や事故の現場を撮影してテレビ局に映像を売る仕事をする人々を指す俗語として使われています。

監督は脚本家としても知られるダン・ギルロイで、本作が長編映画監督デビュー作となりました。

日本では2015年8月に公開され、スタイリッシュな映像美と主演ジェイク・ギレンホールの怪演が話題を呼びました。

深夜のロサンゼルスを舞台に、視聴率至上主義のテレビ業界と、そこに群がる報道パパラッチの実態を鋭く描いた社会派スリラーとして高い評価を得ています。

物語は成功を渇望する一人の男が、倫理を捨ててでも刺激的な映像を手に入れようとする姿を通して、現代メディアの闇を浮き彫りにしていくのです。

基本情報とキャスト紹介

『ナイトクローラー』の基本情報を整理しておきましょう。

製作年は2014年、上映時間は118分とちょうど2時間弱の作品です。

ジャンルはサスペンス・スリラーで、R15+指定となっています。

脚本・監督を務めたダン・ギルロイは、『ボーン・レガシー』や『リアル・スティール』などの脚本家として活躍してきた人物です。

本作では初めてメガホンを取り、鋭い社会批判と緊張感あふれる演出で映画界に新たな才能を印象付けました。

音楽はジェームズ・ニュートン・ハワードが担当しており、不穏な雰囲気を増幅させる楽曲が作品の魅力を引き立てています。

主要キャスト

ルイス・ブルーム役:ジェイク・ギレンホール

本作の主人公で、学歴も人脈もない窃盗常習犯から報道パパラッチへと転身する男です。

ジェイク・ギレンホールは本作のために約12キロもの減量を行い、痩せこけた不気味な外見で狂気的なキャラクターを見事に体現しました。

『ブロークバック・マウンテン』でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた実力派俳優が、これまでとは全く異なるダークな役柄に挑戦したことで大きな話題となりました。

ルイスは礼儀正しく言葉巧みですが、倫理観が欠如しており、目的のためには手段を選ばない恐ろしいキャラクターです。

ニーナ・ロミナ役:レネ・ルッソ

テレビ局の朝のニュース番組でディレクターを務める女性です。

視聴率を上げて契約更新を勝ち取るため、ルイスが持ち込む過激な映像に飛びつき、次第に彼に利用されていく立場となります。

レネ・ルッソは『マイティ・ソー』シリーズなどで知られる女優で、野心と不安の間で揺れる複雑な女性を演じています。

リック役:リズ・アーメッド

ルイスに雇われるアシスタントで、元ホームレスの青年です。

お金が欲しいためにルイスの元で働きますが、次第にルイスの危険な行動に恐怖を感じるようになります。

リズ・アーメッドは『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』などに出演する俳優で、本作では良心を持ちながらも搾取される哀れな役どころを好演しました。

ジョー・ローダー役:ビル・パクストン

ルイスのライバルとなる報道パパラッチです。

経験豊富で仕事をよく知るベテランですが、ルイスの異常な執念に押されていきます。

ビル・パクストンは『エイリアン2』や『タイタニック』などの名作に出演した名優で、本作が遺作の一つとなりました。

あらすじをネタバレありで徹底解説

ここからは映画『ナイトクローラー』のあらすじを、結末まで詳しく解説していきます。

ネタバレを含みますので、まだ作品をご覧になっていない方はご注意ください。

物語は起承転結の構成で展開され、主人公ルイスが報道パパラッチとして成功していく過程と、その狂気がエスカレートしていく様子が描かれます。

【起】窃盗で生計を立てる男ルイス

深夜のロサンゼルス。

工事現場のフェンスを金切ペンチで切断し、盗み出す一人の男の姿がありました。

彼の名はルイス・ブルーム。

学歴も人脈もなく、定職に就けない彼は、窃盗で手に入れた金属類をスクラップ業者に売って日銭を稼いでいます。

ある晩、盗んだフェンスやマンホールの蓋を持ち込んだルイスは、業者の社長に「自分を雇ってほしい」と申し出ました。

研修中は無給でも構わないと訴えますが、「コソ泥は雇わない」と一蹴されてしまいます。

帰り道、ルイスは高速道路で激しい自動車事故の現場に遭遇しました。

炎上する車両の周りには、ビデオカメラを構えた数人の男たちがいます。

興味を持ったルイスは彼らに話を聞き、事故や事件の現場映像をテレビ局に売る仕事があることを知りました。

彼らは「ナイトクローラー」と呼ばれる報道パパラッチだったのです。

警察無線を傍受して現場に駆けつけ、誰よりも早く衝撃的な映像を撮影する。

その仕事にルイスは強く惹かれました。

【承】事故現場に魅了され報道パパラッチの世界へ

翌日、ルイスはビーチでロードバイクを盗み、それを売って得た金でビデオカメラと警察無線の受信機を購入しました。

その夜から彼は警察無線を傍受し、事故や事件の現場へと車を走らせます。

最初に撮影したのは、カージャックに遭い血まみれになった男性の映像でした。

ルイスはその映像を持って地元のテレビ局を訪ね、朝のニュース番組のディレクターであるニーナと出会います。

ニーナは映像を買い取り、ルイスにアドバイスをしました。

「視聴者が求めているのは、裕福な住宅街で起きた暴力事件よ。貧しい地区の事件では視聴率は取れない」

ルイスはそのアドバイスを胸に刻み、より質の高い映像を撮るために行動を開始します。

しかし、一人では限界があると感じた彼は、ホームレスの若者リックを格安で雇い、助手として使い始めました。

リックは道案内やカメラのアシスタントを担当しますが、ルイスは彼に対して最低賃金以下の報酬しか支払いません。

ルイスの撮影はどんどん大胆になっていきます。

ビル火災の現場では警察の制止を無視して最前線まで接近し、発砲事件では被害者の自宅に不法侵入して室内を撮影しました。

ニーナはルイスが持ち込む過激な映像に喜び、高額で買い取ります。

倫理的に問題があると指摘する部下もいましたが、視聴率のために彼女はそれを無視しました。

稼いだ金でルイスは高性能なカメラと赤いスポーツカーを購入し、さらに仕事に没頭していきます。

【転】不法侵入と映像ねつ造でエスカレート

ある夜、ルイスは交通事故の現場に到着しました。

しかし、そのままでは映像の構図が良くないと判断した彼は、なんと遺体を動かして撮影アングルを調整したのです。

映像のねつ造という一線を越えたルイス。

彼にとって倫理や法律は、成功の前では何の意味も持ちませんでした。

ルイスはニーナを食事に誘い、ビジネスパートナーとして関係を深めようとします。

しかしその誘いは脅迫に近いもので、ニーナは彼の要求を断れない状況に追い込まれていきました。

一方、ライバルの報道パパラッチであるジョー・ローダーは、ルイスの台頭によって仕事が減っていました。

ジョーはルイスに協力を持ちかけますが、ルイスは冷たく拒否します。

その後、ジョーの撮影車が事故を起こし、彼は命を落としました。

実はルイスがジョーの車に細工をしていたのです。

そして、ルイスはその事故現場を撮影し、また映像として売り捌きました。

さらに大きなスクープのチャンスが訪れます。

高級住宅地グラナダ・ヒルズで強盗殺人事件が発生したのです。

ルイスとリックは警察よりも早く現場に到着し、住宅内に侵入しました。

そこには残忍に殺害された被害者の遺体が転がっており、逃走する犯人の姿も撮影することに成功します。

この衝撃的な映像に、テレビ局のスタッフは倫理的な問題を指摘しましたが、ニーナは放送を強行しました。

ルイスは映像の対価として、自分の会社名をテレビで紹介することや、幹部との面会を要求し、ニーナはすべて受け入れざるを得ませんでした。

【結末】究極のスクープとアシスタントの死

警察はルイスの映像から事件を捜査し、彼のもとへ情報提供を求めてやってきました。

しかしルイスは協力を拒否します。

実は彼は撮影した映像から犯人の車のナンバープレートを特定し、犯人の居場所を突き止めていたのです。

ルイスは究極のスクープを狙っていました。

犯人逮捕の瞬間、警察との銃撃戦をライブで撮影しようと考えたのです。

リックはルイスの計画に恐怖を感じ、取り分を増やすか警察に通報すると脅しました。

ルイスは表面上は要求を受け入れましたが、心の中では別の計画を練っていました。

ルイスは警察に「武装した容疑者がレストランにいる」と匿名で通報しました。

そして犯人と警察の銃撃戦が始まると、リックをスポーツカーから降ろし、至近距離から撮影するよう命じます。

警察が到着し、激しい銃撃戦が展開されました。

犯人の一人は射殺されましたが、もう一人は車で逃走を図ります。

ルイスとリックは逃走する犯人と警察のカーチェイスを追跡しながら撮影を続けました。

やがて犯人の車が横転し、ルイスはリックに「犯人は死んだから近づいて撮影しろ」と指示します。

しかし、それは嘘でした。

犯人はまだ生きており、カメラを構えて近づいたリックに発砲したのです。

リックは射殺され、その直後に駆けつけた警察が犯人を射殺しました。

ルイスは瀕死のリックが息を引き取る様子も冷静に撮影し、すべての映像をテレビ局に持ち込みました。

ニーナはこの究極のスクープ映像に大喜びします。

警察はルイスが事件に関与している疑いを持ち、取り調べを行いましたが、決定的な証拠がなく釈放せざるを得ませんでした。

ルイスは稼いだ金で新しい撮影機材車を2台購入し、3人の新しいインターンを雇い入れます。

映画のラストシーンでは、ルイスが彼らに仕事の心構えを語る様子が映されます。

「私たちは視聴者が求める映像を届けるプロフェッショナルだ」

まるで何事もなかったかのように、ルイスは報道パパラッチのビジネスを拡大していくのでした。

観た人の感想と評価

『ナイトクローラー』は公開当時から多くの映画ファンに強烈な印象を与え、様々な感想や評価が寄せられています。

ここでは実際に作品を観た人々の声をまとめてご紹介しましょう。

ジェイク・ギレンホールの鬼気迫る演技

多くの感想で最も言及されているのが、主演ジェイク・ギレンホールの圧倒的な演技力です。

約12キロもの減量によって痩せこけた顔立ちと、狂気を宿した目の演技が観る者を恐怖に陥れます。

「ジェイク・ギレンホールの目が怖すぎる」「これまでの彼のイメージを完全に覆す怪演」といった声が多数寄せられています。

ルイスというキャラクターは礼儀正しく言葉巧みで、一見すると普通の人間に見えます。

しかしその内面には倫理観の欠如した冷酷さがあり、目的のためには他人を平気で犠牲にする恐ろしさがあるのです。

ギレンホールはその二面性を見事に演じ分け、「モンスターがモンスターの顔をしていない恐怖」を体現しました。

本作でのギレンホールの演技は、『タクシードライバー』のロバート・デ・ニーロや『ジョーカー』のホアキン・フェニックスに匹敵すると評価する声もあります。

実際、ルイスというキャラクターは孤独な社会病質者という点で、これらの名作の主人公たちと共通する部分が多いのです。

報道倫理とメディア業界への風刺

『ナイトクローラー』は単なるサスペンス映画ではなく、現代の報道業界とメディアの在り方を鋭く風刺した社会派作品としても高く評価されています。

視聴率至上主義のテレビ局が、倫理を無視してでも刺激的な映像を求める姿勢。

それに応えるように過激な映像を撮影する報道パパラッチたち。

そして、そうした映像を求める視聴者自身。

この三者の関係性が、現代社会の歪んだ構造を浮き彫りにしているのです。

「結局、私たち視聴者も刺激的な映像を見たいという欲望があるから、ルイスのような存在が生まれるのだと気づかされた」という感想は、作品が投げかける本質的な問いを捉えています。

ニーナというキャラクターも重要です。

彼女は視聴率のためにルイスの違法な映像を使い続け、次第に彼に利用される立場となります。

良心と野心の間で揺れる彼女の姿は、メディアで働く多くの人々が抱える葛藤を象徴しているといえるでしょう。

サクセスストーリーとしての解釈

監督のダン・ギルロイは本作を「究極のサクセスストーリー」と表現しています。

これは皮肉な表現ですが、ある意味で真実でもあります。

ルイスは何も持たない窃盗犯から、報道パパラッチとして成功を収め、ビジネスを拡大していくのです。

彼は徹底的な自己啓発本の実践者のように、目標達成のために努力を惜しみません。

礼儀正しく、言葉遣いも丁寧で、常に学ぶ姿勢を見せます。

しかしその努力の方向性が倫理を完全に欠いているため、恐ろしいのです。

「資本主義社会の究極の成功者の姿を見せられているようで背筋が凍った」という感想は、作品が提示する深いテーマを捉えています。

成功のためなら手段を選ばない。

他人を踏み台にしても構わない。

そうした価値観が極限まで推し進められた結果が、ルイス・ブルームという人物なのです。

不快だが目が離せない魅力

多くの感想に共通しているのが、「不快で後味が悪いが、目が離せない」「また観たいとは思わないが、夢中になって観てしまった」という複雑な感情です。

ルイスの行動は倫理的に許されるものではなく、観ていて不快感を覚えます。

リックが犠牲になる場面では、怒りすら感じるでしょう。

しかし、それでも作品は観る者を引き込む強い吸引力を持っています。

夜のロサンゼルスを舞台にしたスタイリッシュな映像美。

緊張感あふれる音楽。

ラストのカーチェイスシーンの迫力。

そして何より、予測不可能なルイスの行動に目が離せなくなるのです。

「こんな人が隣人や上司だったらと思うと本当に怖い」という感想は、作品が現実とリンクする恐怖を感じさせることを示しています。

ルイスのような人物は、現実社会にも存在する可能性があります。

それが作品をただのフィクションで終わらせない重みを与えているのです。

『ナイトクローラー』はどこで観られる?配信情報

『ナイトクローラー』を観たいと思った方のために、視聴方法をご紹介します。

本作は複数の動画配信サービス(VOD)で視聴可能です。

Amazonプライム・ビデオでは見放題作品として配信されており、プライム会員であれば追加料金なしで視聴できます。

初回30日間の無料体験期間もあるため、まだ会員でない方でもお試しで視聴することができますよ。

U-NEXTでも見放題配信されています。

U-NEXTは34万本以上の作品を扱う日本最大級の動画配信サービスで、初回31日間の無料トライアルが利用できます。

その他、Hulu、Lemino、FODプレミアムなどでも配信されていますので、ご自身が利用しているサービスや、無料トライアルを活用して視聴してみてください。

レンタル配信も各サービスで行われているため、見放題に含まれていない場合でも個別にレンタルして観ることができます。

ただし、配信状況は時期によって変わる可能性がありますので、視聴前に各サービスで最新の配信情報を確認することをおすすめしますよ。

まとめ

映画『ナイトクローラー』は、報道パパラッチの狂気を通して現代メディアの闇を描いた傑作サスペンスです。

ジェイク・ギレンホールの圧倒的な演技力、スタイリッシュな映像美、そして鋭い社会風刺が融合した本作は、観る者に強烈な印象を残します。

不快で後味が悪いと感じる方も多いでしょうが、それこそが作品の狙いです。

私たち視聴者も、刺激的な映像を求める欲望の一端を担っているのではないか。

報道の自由と倫理のバランスはどこにあるのか。

成功のために何を犠牲にしても良いのか。

作品は様々な問いを投げかけ、答えを観る者に委ねます。

まだ観ていない方は、ぜひ一度この衝撃的な作品を体験してみてください。

そして観た後は、この記事で紹介した感想や解釈と照らし合わせながら、作品の持つ深いテーマについて考えを巡らせてみてはいかがでしょうか。

『ナイトクローラー』は、映画ファンなら必見の一作ですよ。